・「出典」APEC 環境技術交流バーチャルセンター
http://www.apec-vc.or.jp/j/
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【家畜糞尿のメタン発酵処理と消化液の利活用】
嫌気性消化とバイオガス発電の組み合わせシステムは、家畜糞尿を廃棄物として処理するだけでなく、エネルギー(メタンガス)生産をカーボンニュートラルなバイオマスを利用して行うという点でも、注目されている。
つまり、地球温暖化対策の観点からも有効な処理法として開発が進められている。
このシステムに関する世界の現状をみると、ドイツが先行しており、発電能力は250MWを超える。家畜糞尿のみならずタマネギ、ムギ、トウモロコシ等の茎、根菜類の根の残さ、植物性廃食用油、食品残さが原料として利用されている。
デンマークでは、バイオガス発電は3%で、エネルギー政策の重要な位置を占めており、生ごみ、下水汚泥など、多種類の原料を混入し、効率を上げている。
ヨーロッパでは、消化液については、ほとんど液肥として有効に利用されており、臭気は軽減され、粘度が低くなる点が評価されている。
家畜糞尿の嫌気性消化(メタン発酵)の過程では、消化液が生成されるが、その消化液を水処理するには莫大な経費とエネルギーコストを必要とするため、CO2削減効果は低い。
しかし、消化液を液肥として全量転用することができる場合には、CO2削減効果は大幅に向上する。
ところが、日本は、欧米と異なり大部分の畜産農家がそれを散布すべき飼料畑を持っていない。
よって、日本においては、家畜糞尿の消化液を、畑ではなく水田に肥料として散布することが現実的である。
ただし水稲は比較的精緻な施肥設計を要求し、消化液の水田散布は、世界的にも例がない。
消化液の水田散布を実現させるにはいくつか問題がある。
水田は畑と違ってあぜで囲まれており、液肥散布車が走り回って消化液を散布することができない。
圃場への液肥輸送と均一な散布に要する経費を安くするための方策が必要である。
また消化液の液肥をふくむ有機肥料を使用するには、生産効率と環境安全上の両面の問題がある。
まず、有機肥料は化学肥料に比べ、窒素成分量が低く、かつその可給態化の速度が環境条件に左右されやすい。
したがって、液肥効果が把握しにくいのが難点であり、窒素の形態変化を踏まえた施肥計画の確立が不可欠である。
また、概して遅効性の窒素分が多いので過剰施用に陥りやすく、環境の窒素汚染を招きやすい。
また、有機肥料は生物起源の重金属、塩分、病原性微生物、農薬などを含んでおり、収穫物や土壌を汚染する可能性がある。
さらに現代の牧畜業は、生産性を高めるため、繁殖サイクルを短縮し、医薬品やホルモン剤、高栄養の飼料の使用に加えて、高密度の飼養を行っている。そのため、消化液の農地投与の環境安全に関しては、いわゆる富栄養化物質のみならず、微量物質や薬剤耐性のある病原性微生物による環境および収穫物への影響や、揮発性有機化合物が大気質に与える影響の検討も必要となる。
runより:化学物質過敏症の村ではエネルギーになる廃棄物は積極的に使おうと考えています。
化学物質を使う事もありますが、毒性を下げる事にしか使わないつもりです。