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経口ステロイド薬
ステロイド薬は、現時点では、ぜん息治療薬として最も有効な抗炎症薬である。しかし、ステロイドの内服による全身投与は副作用も多い。経口ステロイド薬を長期管理薬として利用するのは、重症でほかの薬でコントロールできない場合に限って使用され、長期投与は、専門医の管理のもと、慎重に行われることが望ましい。経口ステロイド薬の副作用は、副腎機能低下や肥満、糖尿病の悪化、白内障、緑内障、高血圧、精神症状、骨粗しょう症、感染症にかかりやすくなる──などがある。
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抗アレルギー薬
ぜん息発作を予防し、抗炎症があり、長期管理薬として使用される薬剤。ぜん息に用いられている抗アレルギー薬は、(1)メディエーター遊離抑制薬(インタールR、リザベンR、ソルファR、ロメットR、アレギサールR、ペミラストンR、タザノールRなど)、(2)ヒスタミンH1拮抗作用とメディエーター遊離抑制作用を併せ持つ薬ヒスタミンH1拮抗薬(ザジテンR、セルテクトR、アゼプチンR、ゼスランR、ニポラジンRなど)、(3)ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノンR、シングレアR、キプレスR、アコレートR)、(4)トロンボキサン阻害薬 i)トロンボキサンA2合成酵素阻害薬(ドメナンR、ベガR)、ii)トロンボキサンA2合成酵素拮抗薬(ブロニカRなど)、(5)Th2サイトカイン阻害薬(アイピーディR)がある。一部の薬剤は、成人のみ保険の適用になっている。
抗コリン薬
吸入抗コリン薬は、ぜん息治療では、β2刺激薬に比べて気管支拡張作用は弱く、効果が出るのがやや遅く、心血管系への副作用が少ない。肺気腫を合併した高齢者ぜん息で特に有効とされる。
好酸球
白血球の中の顆粒球のひとつで、ぜん息などのアレルギー反応の場に多数集まってくる。ぜん息では、顆粒から特殊なタンパクを放出し、気管支上皮を傷害する。同時に、種々の化学伝達物質を放出し、ぜん息の病態で大きな役割を果たしている。
呼吸機能
酸素を体外から肺を通して血液中に送り込み、二酸化炭素を血液中から体外に運び出す機能。
呼吸困難
動悸・息切れ・胸部圧迫感など、呼吸をするのが苦しさや不快を伴って意識される場合で、自覚症状である。激しい運動や、肺疾患、気道を閉塞する疾患、心疾患などが原因で起こる。ぜん息では中発作以上で認められる。
コントローラー
ぜん息をコントロールする薬のこと。発作治療薬(リリーバー)に対し、長期管理薬ともいう。
日ごろから、必要十分なコントローラーを使用しながら環境の改善をはかることにより、ぜん息発作を消失あるいは予防し、気道過敏性を改善させることができる。その結果、ぜん息の悪化やぜん息死を防ぎ、日常生活の質(QOL)を改善することが期待できる。
抗炎症薬(主に吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬、徐放性テオフィリン薬)が基本となり、必要に応じ長時間作用型β2刺激薬を加える。 長時間作用型β2刺激薬は気道過敏性を改善しないので、この薬剤のみで長期管理は行わない。