化学物質負荷試験と心理テストの有用性の検討 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・一般演題
化学物質過敏症1
座長:中村陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギー科)

P-285.化学物質過敏症に対する化学物質負荷試験と心理テストの有用性の検討

後藤浩之1) 小川真規2) 圓藤陽子2)
関西労災病院内科1) 東京労災病院産業中毒センター2)


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(はじめに)化学物質過敏(MCS)は主に自覚症状により診断され,客観的診断とは言いがたい.

MCSを疑う患者において,微量化学物質負荷試験の有用性を検討した.

また,MCSは精神的な影響が関与されている可能性があり,心理テストを行い正常人との差を検討した.

(方法・結果)MCSを疑う患者15名に対してクリーンルームにて二重盲検負荷試験を行った.

ホルムアルデヒドまたはトルエンを厚生労働省室内基準値濃度,各々半分の濃度,0μg/m3の3種類の濃度で10分間の負荷を行った.

負荷前後で血圧・脈拍数・酸素濃度飽和度,眼球追従運動,瞳孔反射速度などを測定した.判定は症状変化または検査所見の変化で判定した.

心理テストはSTAI,TEG,POMSを行い,正常人ボランティアと比較した.

負荷試験にて,検査所見の変化はなく,濃度変化を感知できた患者はおらず,負荷試験は15名全員陰性と判定した.

また,STAI,POMSの各項目において正常人と有意な差を認めた.

(考察)MCSを疑う患者に負荷試験を行ったが,全例陰性であった.

MCSが微量化学物質に反応する病態ではない可能性を示唆する.

一方,心理テストにおいて正常人との差を認め,病態に心理的影響が関与している可能性が示唆される.

第20回日本アレルギー学会春季臨床大会 2008年6月開催