ホルムアルデヒド(FA)暴露による甲状腺腫が疑われた例 | 化学物質過敏症 runのブログ

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一般演題
化学物質過敏症1
座長:中村陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギー科)

P-283.ホルムアルデヒド(FA)暴露による甲状腺腫が疑われた化学物質過敏症の1例

小倉英郎1) 小倉由紀子1) 中村陽一2)
国立病院機構高知病院アレルギー科1) 横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンターアレルギー科2)


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【症例】50歳 女性.平成7年4月,新築の自宅に入居.当初から異臭はあったが,8月頃から全身倦怠感,食欲低下を来した.

10月に検診で甲状腺腫大を指摘され,10月13日,橋本病としてチラージンの内服を開始した.

食欲は出てきたが,倦怠感は余り改善しなかった.

平成8年頃から新築の家屋で,一過性に頸・下腿の硬さを感じるようになった.平成14年9月,保健所にVOCの測定を依頼し,屋内のFA濃度が180μg/m3と判明.

10月1日,当科初診.硬度軟の甲状腺腫を触知する以外に特記すべき所見はなかったが,抗マイクロゾーム抗体は25,600倍であった.

平成19年5月,庭で洗濯物を干していて,急に脱力して座り込んでしまったため,実家に転居した.

現在,新築の家屋,新車,インク,排気ガス等で頭痛,嘔気,結膜刺激感,体が硬くなるなどの症状を来すが,実家に転居後,症状は改善している.

平成19年11月,当科再診.抗マイクロゾーム抗体は400倍に低下していた.【考察】7年以上にわたってFAに暴露された化学物質過敏症症例であり,暴露数ヶ月後に甲状腺腫大を来した.

FA暴露と甲状腺腫の関係は不明であるが,動物においてはFA暴露により甲状腺肥大後,萎縮を来すことを示す報告がある.

第20回日本アレルギー学会春季臨床大会 2008年6月開催