・一般演題
化学物質過敏症1
座長:中村陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギー科)
P-282.シックハウス症候群の最大原因物質としてのパラジクロロベンゼン
大友 守 長谷川眞紀 秋山一男
国立病院機構相模原病院臨床環境医学センター
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【目的】パラジクロロベンゼン(以下pDCB)はシックハウス(以下SH)症候群の重要な原因物質の一つであるが,原因物質としての最近の重要性を検討した.
【方法】最近3年間に当院臨床環境医学センターを受診した患者のうち希望された患者宅の揮発性化学物質の環境測定を実施.70例(ホルムアルデヒド64例,アセトアルデヒド44例,pDCB 63例測定など)の解析を行った.
【結果】居住環境室内濃度指針値以上の頻度;ホルムアルデヒド7.8%,アセトアルデヒド6.8%,pDCB 20.3%,トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレンは全例指針値以下.
【考察】元来はホルムアルデヒドがSH症候群の主たる原因物質とされてきたが,厚生労働省の室内濃度指針値が設定され建築資材の改善が進み,その影響は減り,むしろpDCBが原因と考えられるものが予想以上に多いことが判明した.
大半が新築などとの関連を訴えて受診されるが,新築改築直後ではなく少し経ってからの症状の出現をみることが多い.
一般に新築家屋は以前の住宅に比べ,高気密性となる一方,気密性のないクローゼットが設置され,pDCBの影響は指摘されてはいるが,現在本物質がSH症候群の最も重要な原因物質と考えられ,さらなる注意の喚起と適正な使用法を確立すべきと考えられる.
第20回日本アレルギー学会春季臨床大会 2008年6月開催