・科技庁も緊急調査を開始
昨年、米国・環境衛生科学研究所(NIEHS)が、「ラピッド計画」の最終報告書を発表した。
それは米国議会の要請を受けて約5年間にわたり、送電線などからの電磁波の人体への影響を調査していたものだ。
「報告書の結論には<実際に生活している>場所での被曝に関して、無視できない、いくつかの一致性が見られるとし、『2つのガンの場合に相関が見られ、小児白血病と職業人の慢性リンパ性白血病である』『被曝が白血病の原因になるかもしれないとの弱い科学的証拠があることから、被暖が完全に安全だと認めることはできない』とあります」(前出・荻野博士)
日本でもようやく昨年8月から、科学技術庁が全国的な電磁波の健康への影響を調べる疫学調査を開始した。
少なくともその結果が出るまで、新規の電波塔の建設は凍結すべきである。
でなければ、何のための調査か。
住民でもある山下昇医師は、長期間被暖した場合の恐ろしさについて、こう言う。
「私たちの肉体には約60兆個の細胞がありますが、そのうち、たった1個の細胞がガン化し、無制限に増殖し、人を死に至らしめます。
その1個の組胞が検査で見つかる大きさになるのに、約10年かかるのです。つまり鉄塔を建て、電磁波の発ガン性が明らかになるのは10年後になるわけです。
それをじっと待つことができますか。
また現在、まだ自分では知らずに前ガン細胞を持っている人にとって、電磁波は最後の一撃になる可能性があります」
本田さんの調査でも、杉田台住宅でガンで死亡した人は、子供のころから住んでいて、結婚した後も、そのまま住み続けている人ばかりなのである。
大阪の門真市古川町では、過去13年間て死亡した160人のうち82人がガン、そのうち18人が血液のガンといわれる白血病で死亡している。
ガンの発生率は全国平均の20倍、白血病に至ってはなんと全国平均の100倍という異常な高さである。
これは、町に張りめぐらされた高圧送電線の影響と見られているという。
次の犠牲者は誰か。
「電磁波の恐怖」は横浜・洋光台だけの問題ではなく、今後、全国に広がる可能性もある。速やかな調査が必要だ。
日本の法規制は世界に遅れている
携帯電話が人体に重大な影響を及ぼす危険性については、これまでにも多くの科学者が実験を繰り返してきており、その科学的・客観的なデータを発表してきた。
それらの研究については、本誌238号の記事てすでに紹介してあるのでここでは繰り返さない。
興味のある方は、バックナンバーを参照していただきたい。
欧米ではそれらの研究成果をもとに、政府による厳しい法規制が次々と実施されている。
45ぺージの表は、中継基地局からの電磁波規制の各国の現状をまとめたものだが、日本の法規制を基準値の甘さはまさに突出しているといっていい。
スイスやイタリアの基準植の約100倍がら250倍、オーストリアのザルツブルクの1万倍、オーストラリア・フォローゲン州の規制値とくらべれば、実に100万倍もの強力な電磁波を野放しに垂れ流しているというのが現状だ。
いったいなぜ、こんなことになってしまうのだろうか。