薬剤性過敏症症候群―新しくわかってきたこと― | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ミニシンポジウム13
薬物アレルギー・化学過敏症
司会者:飯島正文1), 長谷川眞紀2)(昭和大学医学部皮膚科1), 国立病院機構相模原病院臨床研究センター2))

MS13.基調講演 薬剤性過敏症症候群―新しくわかってきたこと―

渡辺秀晃, 飯島正文
昭和大学医学部皮膚科


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薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)はStevens-Johnson syndromeやtoxic epidermal necrolysisなどと並ぶ重症型薬疹の1つである.

DIHSは薬剤内服2-6週間後遅発性に発症し,発熱や肝機能障害・リンパ節腫脹などの全身症状を伴うが,その経過中にhuman herpes virus 6(HHV-6)やcytomegalovirus(CMV)の再活性化がみられることが明らかとなり,最近のトピックスとなっている.

DIHSの原因薬剤は抗てんかん薬,アロプリノール,メキシレチン,サラゾスルファピリジン,ジアフェニルスルホンがほとんどである.

しかしながら,我々はこれらの薬剤内服歴無しにHHV-6とCMVの再活性化を伴うDIHSの症例を経験した.

近年中国でトリクロロエチレン暴露後に肝機能障害,HHV-6の再活性化を伴う重症型薬疹の報告が相次いでいる.

そこで本患者にトリクロロエチレン,またその代謝産物であるトリクロロ酢酸,トリクロロエタノールのパッチテストを施行したところ,後2剤で陽性であった.

この事から,代謝物のトリクロロアセトアルデヒドが原因でDIHSを生じたと考えた.

また,我々は,持続的に高HHV-6血症のみられたカルバマゼピンによるDIHS症例を経験している.

本症例ではfluorescence in situ hybridizationで1番染色体1q44へのHHV-6ゲノムの組み込み(インテグレーション)を確認した.

以上の事から,DIHSではこれまで原因薬と考えられてきた薬剤以外の化学物質が原因となりうる事,また,患者の遺伝子学的背景が発症に関与している事が示唆された.

第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催