小児科における薬物アレルギーの現状と対策 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム1
薬物アレルギーの現状と対策
司会者:塩原哲夫1), 森田 寛2), 伊藤節子3)(1)杏林大学医学部皮膚科, 2)お茶の水女子大学保健管理センター, 3)同志社女子大学生活科学部食物栄養科学科臨床栄養学)

4.小児科における薬物アレルギーの現状と対策

近藤直実, 松井永子, 金子英雄, 深尾敏幸, 寺本貴英, 折居建治, 青木美奈子, 舩戸道徳, 近藤 應, 小関道夫, 桑原愛美
岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学


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 薬物アレルギーとは,薬物の投与に起因する不利益な反応(adverse reactions)のうち免疫学的機序が関与するものをいう.

しかし一般には機序不明なものが少なくない.

実際には非アレルギー性の機序によるものや,機序不明なものも含めたadverse reactions to drugsとほぼ同義語として使用されている.

種々の薬物が原因となりうる.

狭義の薬物アレルギーでは薬物は多くはハプテンとして働く,CoombsとGellの分類の1型,2型,3型,4型に分類されるが,adverse reactionsとしては,それ以外にpossibly allergic-immune,pseudoallergic,non allergicに分けて病態が整理されている.

本講演では,小児の薬物アレルギーを中心にadverse reactions to drugsにつき検討する.

小児の薬物によるadverse reactionsの症状は多彩であり,全身,各臓器にわたる.

1.アナフィラキシー.

2.発熱(典型例では薬剤投与7~10日後に突然敗血症様発熱をきたす).

3.血清病または血清病様症候群.

4.呼吸器障害.

5.造血器および血液系障害.

6.肝障害.

7.腎障害.

8.薬疹(皮膚粘膜病変をきたす)などである.

診断で最も重要なことは,まず問診により薬物使用歴と使用状況および症状の経過を十分に把握し,その関連を明らかにすることである.

疑わしい薬剤について皮膚試験(スクラッチテスト,プリックテスト,パッチテスト)を行うが,アナフィラキシーが予測される場合は禁忌である.

4型アレルギー反応を含む非即時型反応の場合には,推定薬剤によるリンパ球刺激試験(LST)が有用である.

治療で最も重要なことは,何よりも原因薬物ないし原因と推定される薬物の中止である.

加えて,各症状に対する治療を行う.本講演では小児科におけるこのような現状を踏まえ,問題点を検討し,さらに遺伝子診断やテーラーメイド治療を含めて今後の薬物アレルギーの対策を考えたい.

第19回日本アレルギー学会春季臨床大会 2007年6月開催