薬剤性光アレルギーの診断と予防・対策 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム15
薬物アレルギーの診断と予防・治療
座長:榊原博樹1),堀尾 武2)(1)藤田保健衛生大学医学部呼吸器・アレルギー内科,2)関西医科大学皮膚科)

4.薬剤性光アレルギーの診断と予防・対策

段野貴一郎
滋賀医科大学 医学部 皮膚科


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 薬剤の全身投与を受けたのち日光暴露を受けた部位に皮疹が発症する状態を薬剤性光線過敏症とよぶ.

薬剤の分子が光エネルギーを吸収し励起され光生物学的反応を惹起することによって起こる.

光毒性反応と光アレルギー性反応に分けられる.

光毒性反応は薬剤の濃度と日光暴露量の両者に依存する.多くの場合長波長紫外線によって起こる.

投与から潜伏期間なしに皮疹(日焼け様紅斑)が発症する.

免疫反応の関与はない.

光アレルギー性反応は薬剤が光抗原性を獲得した場合に起こる.

光感作にはほとんどの場合長波長紫外線が関与している.

薬剤投与後光感作に要する潜伏期間をおいて皮疹(多くの場合湿疹病変)が発症する.

遅延型免疫反応が主体で即時型のケースはきわめてまれである.

診断は皮疹の発生部位と症状,薬剤摂取歴から推定される.

原因薬剤の決定には光線テスト,光貼付試験,内服光照射試験が行われる.原因薬剤が同定されない場合は被疑薬を中止して経過をみるのが現実的である.

薬剤性光アレルギーはどの薬剤によっても起こりうるが,頻度の高い薬剤にはニューキノロン系抗菌薬,非ステロイド系抗消炎薬,向精神薬,抗癌薬,高脂血症薬,抗真菌薬,抗ヒスタミン薬などがある.

治療は原因薬剤の除去と遮光である.本症は原因薬剤を回避すればよくなるのであって,これをおろそかにして遮光に頼ることはよくない.

その意味でサンスクリーンの使用はあくまで補助的手段である.

光毒性反応は原因薬剤の中止後すみやかに軽快する.

光アレルギー性反応は薬剤を中止してもすぐにはよくならない.

まれに薬剤中止後も長期間にわたって日光暴露のみによって皮疹が生じる状態が続くこともある.

軽症ではステロイド外用,中等症以上では短期間のステロイド内服を行う.

予防は難しいが,副作用として光線過敏が知られている薬剤を投与するときは遮光の注意を患者へ促す.

再発予防には同じ薬剤の再投与を避けることはいうまでもない.

交差反応を起こす薬剤にも注意が必要である.

内服薬のみとは限らない.

非ステロイド系抗消炎薬は外用薬としても使われるので光接触感作されたのち交差反応を有する薬剤を内服すると光アレルギーが起こることもある.

夏季に患者数が増える薬剤性光アレルギーの診断法について実例を交えながら概説し,予防・対策のポイントにも触れたい.

第17回日本アレルギー学会春季臨床大会 2005年6月開催


runより:これは初めて知った症状です。アレルギーは奥が深いです。