シックハウス症候群(SHS)及び化学物質過敏症(MCS)患者の臨床像 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・一般演題
職業・環境アレルギー〔化学物質過敏症を含む〕
座長:土橋邦生1), 長谷川眞紀2)(1)群馬大学医学部保健学科, 2)国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科)

MS4-3.シックハウス症候群(SHS)及び化学物質過敏症(MCS)患者の臨床像

西中川秀太1) 後藤浩之2)
東京労災病院 環境医学研究センター1) 関西労災病院2)


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【目的】SHS及びMCS患者の臨床的特徴について検討すること.

【対象と方法】平成14年5月から16年3月に受診した患者132名中,化学物質曝露歴を有し,多臓器に亘る症状を認め他疾患が除外された92名を対象とした.

WHOによるシックビル症候群の定義及びCullenによるMCSの概念を基準に,主に曝露した建築物内で症状がみられるSHS群(42名)と化学物質の少量曝露で症状が誘発されるMCS群(50名)に分類し臨床症状,化学物質不耐性等について検討した.

アンケートを送付し,有効回答が得られた48名の予後調査を行った.

【成績】SHS群では気道症状や眼症状の頻度が高く,MCS群では加えて頭痛,倦怠感,筋,関節症状等の多彩な自覚症状がみられた.

アレルギー疾患合併率は群間で差がなかった.

MCS用の問診表-QEESI-で化学物質不耐性が疑われたのはSHS群9名に対しMCS群22名と有意に多かった.

予後調査では自覚症状が消失,または改善したのはSHS群85%,MCS群50%であった.

有効な治療法は,曝露の回避(転居,転職)と回答したものが54%,空気環境の改善(換気)が48%で生活療法や投薬治療の有効性は低かった.

【結論】SHS群に比してMCS群ではより複雑な健康障害を呈しており,予後も不良であった.

治療は,曝露回避や空気環境の改善のみが有効であった.

第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催