・一般演題
アトピー性皮膚炎
座長:塩原哲夫1), 古江増隆2)(1)杏林大学医学部皮膚科, 2)九州大学大学院医学研究院皮膚科学)
MS11-11.化学物質過敏症(CS)及びシックハウス症候群(SHS)の検討
小倉英郎1) 中村陽一2)
国立病院機構 高知病院 小児科1) 横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター2)
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【目的】CSおよびSHS患者の発症,症状,経過を検討し,病型分類を試みる.【対象および方法】当院化学物質過敏症外来を受診した53名を症候学的に検討した.
【結果】SHSを伴うCS38名,SHSを伴わないCS13名,CSを伴わないSHS2名に分類された.
年齢構成は30歳代にピークがあり,性比は圧倒的に女性が多かった.
アレルギー疾患の合併率は56.7%と高率であり,アレルギー性鼻炎・花粉症の合併率は32.1%であった.
約80%の症例が,発症の契機となる化学物質暴露を経験していた.
SHSの大部分は家屋の新築の際に発症していたが,SHSのないCSでは,殺虫剤,洗剤,ヘアカラー,排気ガスなど比較的高濃度.短時間の暴露を契機に発症した症例や慢性の経過で発症した症例が含まれた.
CS51名をSHSの有無で2群に分け,症状を比較検討した.
SHS(+)群は頭痛,咳嗽・喀痰の頻度が有意に高かったが,SHS(-)群では,におい過敏・鼻粘膜の刺激感の頻度(76.9%)および四肢・体幹の疼痛が有意に高率であった.
軽快を含む改善以上の改善率はSHS(+)群がやや良好な傾向が見られたが,有意ではなかった.
CS全例での改善率は54.9%であった.SHSの経過で発症したが,CSの症状が優位となった症例もみられた.
【結論】SHSの有無で2群に分けて検討したが,さらに細分類される可能性も示唆された.
第56回日本アレルギー学会秋季学術大会 2006年11月開催