・一般演題
薬物アレルギー(3)
座長:安井正英(金沢大学呼吸器内科)
115.化学物質過敏症の疑われる症例に対するホルムアルデヒド,キシレン,トルエン負荷テストの解析
木村五郎 岡田千春 坂口 基 宗田 良 鳥越利加子 吉永泰彦 村尾正治 春摘 誠 河田典子 高橋 清
国立療養所 南岡山病院 アレルギー科
--------------------------------------------------------------------------------
【目的】化学物質過敏症は,微量な化学物質に対して,多彩な症状を呈するとされるが,日常環境中に存在する濃度の化学物質でも症状を呈することがあり,特定の化学物質と症状の因果関係を,正確に評価することが困難な場合がある.
【方法】このため,当院では,平成13年4月より,クリーンルームにて,blindで,ホルムアルデヒド,キシレン,トルエンについて,厚生労働省の環境指針の半分の濃度で負荷試験を行った.
【成績】現在までに同意の得られた15例について負荷テストを行い,負荷陽性率はそれぞれの物質について20%,53.3%,53.8%であった.
症状は頭痛,頭重感,眼の違和感,咳,全身倦怠感などで,ふだんの症状が再現されることが多かった.
【結論】負荷テスト陽性であれば,因果関係は,病歴のみから判断する場合より,より確実であると考えられた.
しかし問題点として,症状は,主観的であり,定量的評価が困難であること,負荷した濃度は一濃度のみで,誘発に最適な濃度であるかの検討が必要と考えられた.
誘発された症状は,とくに重篤なものはなかったが,症状の回復に時間がかかる場合も認められた.
第52回日本アレルギー学会総会 2002年11月開催