・一般演題
職業アレルギー
座長:上田 厚(熊本大学衛生学)
71.大学生におけるアトピー性素因と化学物質過敏症状との関連についての検討
水城まさみ1) 長谷川真紀1) 秋山一男1) 津田富康2)
国立相模原病院 臨床環境医学センター1) 大分医科大学 第三内科2)
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【目的】解剖実習中のホルムアルデヒド(FA)濃度は高値で,アトピー性素因を有する者,化学物質過敏症状(CS)の症状数が多いほど,実習中の身体症状が有意に高度であることを報告してきた.
今回は高濃度のFA曝露のない学生にCSに関する問診と,アレルギー学的検査,住宅環境やアトピー性疾患との関連を検討する.
【方法】大分大学104名と大分医科大学看護学科60名にCSに関する問診と,総IgE,ダニおよびFA特異的IgEを測定した.
【成績】ダニ特異的IgE陽性者は58%,何らかのCS保有者は70%に及んだ.ダニ特異的IgE値とCS数には有意の相関が認められたが,FA特異的IgE陽性者はなかった.
アトピー性疾患を有する者は,CS数が有意に多かったが,住宅環境別では有意な相違はなかった.
【考察】アトピー性素因を有する者ほどCS数が多く,MCS予備軍と考えられた.
今後,化学物質濃度が高い環境におかれた場合にMCSを発症してくる可能性がある.
なお,一般集団のFA特異的IgE抗体保有率は,非常に低いが,今回の調査からはCS数が半数以上を有する者が10数%存在する.
今後,MCS予備軍把握と発症予防のために,アトピー性素因の検索に加え,FAパッチテストなど比較的簡便にできる方法を導入していく必要がある.
第52回日本アレルギー学会総会 2002年11月開催