「ケミレスタウン・プロジェクト」について | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム7
化学物質過敏症の実態と対策
司会者:中村陽一1), 坂部 貢2), 鳥居新平3)(1)横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター, 2)北里大学薬学部公衆衛生学, 3)名古屋大学医療技術短期大学部)

5.化学物質の影響対策としての環境改善型予防医学の実践:「ケミレスタウン・プロジェクト」について

森 千里1,2), 戸高恵美子1,2), 深田秀樹1), 松野義晴1,2), 中岡宏子2)
千葉大学大学院医学研究院環境生命医学1) 千葉大学環境健康フィールド科学センター2)


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 シックハウス症候群対応として,発症の原因物質とされたホルムアルデヒドとクロルピリフォスの2物質については,2003年7月,建築基準法が改正された.ところが,今もシックハウス症候群を発症する人は減少したといえない状況である.

そこで,因果関係の立証や法的な対応を待つのではなく,環境を改善することで将来発症するかもしれない患者さんの増加を食い止める「環境改善型予防医学」を実践し,これから生まれてくる世代の人々がより健康に生きられる社会づくりを目指す「未来世代のための街づくり:ケミレスタウン・プロジェクト」を我々は開始した. 

本プロジェクトでは,それぞれ個別にシックハウス対応の家作りを行ってきた複数のハウスメーカーに千葉大学環境健康フィールド科学センター(千葉県柏市)のキャンパス内に住宅6棟を建設してもらい,室内化学物質濃度と人の健康影響との関係を共同研究する.

テーマ棟(仮称)内には,環境中の化学物質由来の健康影響について調べる「環境医学診療科」を設け,「シックハウスの疑いがある」と診断された患者さんが1週間程度ケミレスタウン内の個別住宅に宿泊して体調が改善されるかどうかを診る.

これら一連のモデルタウンを,これから住宅を建てようと計画している個人や,幼稚園,学校などの建設を計画している自治体,街づくりに携わる主体などに見学してもらい,全国に「ケミレスタウン」を広げていく.

ケミレスの目標指針値として,現在の室内環境指針値の10分の1を目指している.

また,我々は「ケミレス,ケミレスハウス,ケミレスタウン」の三つの用語を登録商標とし,環境改善型予防医学の普及に際し環境の質的レベルは守ることを実践活動に入れている. 

本プロジェクトは化学物質問題の対策として,感受性の高い胎児や子ども,さらに成人でも感受性の高い人を基準にした環境づくり,すなわち,「環境ユニバーサルデザイン」による社会づくりを提唱するものである.

多くの方に環境改善による化学物質影響の発症予防や症状の緩和を理解していただき,シックハウス症候群等の対策を通して,日本全体に環境改善型予防医学に関する本プロジェクトが広がることを目標としている.

第19回日本アレルギー学会春季臨床大会 2007年6月開催