シックハウス症候群の臨床的研究―とくにアレルギーとの関連から | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム7
シックハウス症候群の現状と展望
座長:鳥居新平1),長谷川眞紀2)(1)愛知学泉大学,2)(独)国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科)

2.シックハウス症候群の臨床的研究―とくにアレルギーとの関連から

長谷川眞紀,大友 守,秋山一男
独立行政法人国立病院機構相模原病院


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 シックハウス症候群は「室内環境要因,特に室内の空気質(indoor air quality)に起因する健康障害」という定義を用いると,その原因としては,アレルゲン,物理的環境-気温,湿度,気圧など-,化学物質が考えられる.我々の施設内に設置された臨床環境医学センターを受診した患者の中から,この定義によってシックハウス症候群の可能性のある患者を選ぶと現在までに119名になった.

女性84名,男性35名である.

初診時の年齢では30歳台,40歳台が最も多く,女性では40歳台に,男性では30歳台にピークがあった.

前年の春期臨床大会で化学物質過敏症について報告したが,シックハウス症候群の患者でもアレルギー疾患の合併,または既往のある患者が多数を占め,119名中97名(81.5%)にのぼった.

なかでもアレルギー性鼻炎の患者が多く,アレルギー性鼻炎単独例36名(30.2%),アレルギー性鼻炎+他のアレルギー疾患合併例35名(29.4%)であった.その他皮膚アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎,じんま疹,湿疹)単独例が18名(15.1%),皮膚アレルギー+喘息が5例(4.2%),喘息単独例が3例(2.5%)あり,アレルギー疾患の既往も合併のない例は22例,18.5%のみであった.

また健康障害としてアレルギー疾患の増悪を訴えて来院した例が20例みられ,内訳はアトピー性皮膚炎が12例,喘息が7名,アレルギー性鼻炎が1名であった.

これらの例については,それぞれのアレルギー疾患に対する治療により,室内環境整備が不十分でも軽快する例が多かった.

36名の患者についてシックハウス症候群ではないと判断したが,その理由は室内環境要因によるとは考えられなかった例が10例,他の疾患が主であると考えられた例が24例(転換性障害などの心因性のものが15例,甲状腺機能障害などの身体的なものが9例),この25例のうちにも室内要因がはっきりしなかった例が8例あった.

その他,受診が1回だけなど診断困難例も2例みられた.

以上のようにシックハウス症候群と考えられる例にはアレルギー性疾患の合併が多く,しかもアレルギー性鼻炎の合併が多いのは前年に報告した化学物質過敏症と同様であった.

第17回日本アレルギー学会春季臨床大会 2005年6月開催