・(1)「病名」には、シックハウス症候群であることが記載されていること。
※化学物質暴露による急性中毒(有機リン中毒など)やアナフィラキシー・ショック、接触性皮膚炎などのアレルギー疾患など、既存の疾病概念で把握できるものについては、対象外とする。
※いわゆる化学物質過敏症については、医学界で概念が整理されていないこと、原因が住居に限定されないことなどから、今回の目的である公営住宅への転居による効果が期待できないことから、対象外とする。
※直ちに専門的な治療が必要であるような重症患者であれば、医療施設で対応されるべきものであり、転居による環境の改善のみでは症状が改善される見込みがないと推察される者については、対象外とする。
※シックハウス症候群の診断にあたっては、厚生労働科学研究費補助金地域健康危機管理研究事業「シックハウス症候群の診断・治療及び具体的対応方策に関する研究(主任研究者相澤好治北里大学医学部教授)」及び「シックハウス症候群の診断・治療及び具体的方策に関する研究(主任研究者秋山一男国立病院機構相模原病院副院長)」により、提案されている診断基準案を参考にする。
(化学物質によるシックハウス症候群の診断基準案(2007.12 相澤・秋山班))
1. 発症のきっかけが、転居、建物※の新築・増改築・改修、新しい日用品の使
用等である。
2. 特定の部屋、建物内で症状が出現する。
3. 問題になった場所から離れると、症状が全くなくなるか軽くなる。
4. 室内空気汚染が認められれば、強い根拠となる。
(※ 建物とは、個人の住居の他に職場や学校等を含む)
(2)「発症にいたる状況」には、発症の原因が明確に記載されていること
例)「新築建物に入居した後、化学物質暴露により健康障害が発生。
但し、住宅を離れると症状が治まる。」等。
※症状誘発の関連因子を特定するためには、慎重かつ適切な臨床診断に基づく総合的な検討が必要である。
※対象患者である「住居における化学物質を原因とする健康障害を発症した者」
とは、建材、壁紙等から発散される化学物質を原因とする健康障害を指すものであり、家具、床仕上げ材の上に敷かれた絨毯等から発散される化学物質を原因とするものについては、発生源(家具、絨毯等)を容易に取り除くことができるため、対象外とする。
※その住居における化学物質が健康障害の原因であることが必須条件であり、近隣の農薬散布や近隣の建設工事により健康障害が発生した場合は対象外とする。