・(2)ビル衛生管理法の改正
厚生労働省により「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(通称:ビル衛生管理法)関連省政令の改正が、平成15年4月1日に施行され、室内空気中濃度を測定し、規制への適合を図らなければならないものとして、ホルムアルデヒドの濃度基準が追加された。
これにより、ホルムアルデヒドの濃度は1m3につき0.1㎎(0.08ppm)以下であることが求められる。
その測定時期は新築、大規模の修繕、大規模の模様替えを行った後、最初に訪れる6月初めから9月末まで(気温が高くホルムアルデヒドが放散しやすい)の期間とし、その測定方法についても規定された。
ビル衛生管理法は、興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用に供される建築物で、相当程度の規模(特定用途に供される部分の延べ面積が3000㎡以上)を有するものを「特定建築物」と定義し、規制の対象としている。
空気環境の調整に関する基準には、浮遊粉じんの量、一酸化炭素および二酸化炭素の含有率、温度、相対湿度、気流が掲げられていた。
(3)建築基準法の改正
国土交通省は、建築基準法第28条の2(居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置)、建築基準法施行令(令)第20条の5号 - 9号を改正し、平成15年(2003年)7月1日に施行した。
すなわちシックハウス対策の規制を受ける化学物質としてクロルピリホス及びホルムアルデヒドが該当し、居室を有する建築物にはクロルピリホスを添加した建築材料の使用が禁止された(令第20条の6)。
ホルムアルデヒドに関する規制としては、内装の仕上げの制限があり、居室の種類及び換気回数に応じて、内装の仕上げに使用するホルムアルデヒド発散建築材料は面積制限を受ける(令第20条の7)。
内装の仕上げ等にホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない場合であっても、家具等からもホルムアルデヒドが発散されるため、居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付けられた(令第20条の8)。
天井裏等は、下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建築材料とするか、機械換気設備を天井裏等も換気できる構造とする必要がある(平成15年国土交通省告示第274号第1第三号)。
建築基準法に基づくシックハウス対策に係る規制は、平成15年7月1日以降に着工された建築物に適用され、同年6月以前に着工されたものには適用されない。
本規制の対象となる建築材料は、平成14年国土交通省告示第1113号、第1114号及び第1115号で限定列挙した建築材料(告示対象建築材料)のみで、これらを内装の仕上げ等に用いる場合は、日本工業規格(JIS)の認証、日本農林規格(JAS)の認定又は建築基準法第68条の26の規定に基づく構造方法等の認定を受けることにより、その種別(等級)を明らかにする必要がある。
告示対象建築材料を使用した造り付けの家具、キッチン・キャビネット等の製品も本規制の対象となる。
告示対象建築材料で、F☆☆☆☆等級のものは「規制対象外建築材料」なので、居室の内装の仕上げや天井裏等に、本規制を受けることなく用いることができる。