SHS診療マニュアル第2部5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Ⅲ 気分障害
気分障害の主な疾患には、広義のうつ病に含まれる大うつ病性障害、気分変調性障害と、広義の躁うつ病に含まれる双極Ⅰ型障害(精神病性の躁状態を伴う)、双極Ⅱ型障害(軽躁状態を伴う)がある。

ここでは、一般的にも有病率が高く、SHSとの合併も多い大うつ病性障害について概説する。
1.大うつ病性障害
大うつ病性障害の一般人口における有病率は6%程度であり、女性は男性の2倍(女性:8%、男性:4%)程度に上る。
大うつ病性障害は、表1に示した診断基準によって行う。

ここに示した9項目のうち、1か2のどちらか片方を含めて5つ以上が2週間以上持続すれば、診断が下される。

しかし、非専門家がこの5つを覚えておくことは容易ではないので、われわれは実証的なデータに基きこのうち3項目のみを使う簡易法を提唱している。
具体的な使用手順としては、まず、大うつ病エピソードの最初の2項目を尋ね、そのどちらか一方のみに当てはまる場合は、「軽症」の大うつ病または小うつ病(大うつ病エピソードの2~4個を満たす病態)と判断をする。

2項目とも当てはまる場合は、さらに「罪悪感」(大うつ病エピソードの7番目)の項目についても確認し、3つとも当てはまる場合は「中等症~重症」の大うつ病と判断することになる。
診断を下すことは、以上の手順を踏めば必ずしも難しくないが、実は、大うつ病の存在を疑うことの方が難しいことが珍しくない。

それは、特に軽症の場合、抑うつ気分を伴わない(落ち込んでいない)ことが少なくないからで、そのような場合には、様々な身体症状が前景に立ち、自律神経失調症と言ってよい病態になることが少なくない。

そしてそのような場合特に、SHSとの鑑別が難しくなる。
そもそも持続的な不定愁訴が続く場合には、大うつ病の診断を疑うように
した方がよく、その際、「おっくうで仕方がないということはないですか」という質問に「はい」となれば、上記の手順にしたがって診断を試みるようにする。