【市場調査】300億超の黒酢市場(2)~黒酢の王国「福山町」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・<醸造に恵まれた気候・風土>

 鹿児島県霧島市の福山町は、黒酢のメッカとして全国に知れわたっている。同地は鹿児島市内から車で約1時間、パールハーバー奇襲の秘密演習地として有名な錦江湾(鹿児島湾)に面しており、三方を丘に囲まれた東奥に位置している。

 年間の平均気温は18.7℃と、冬は暖かく夏は比較的涼しい温和な気候に恵まれ、発酵に適した環境の土地柄である。

三方を囲む丘は約2500年前にできた姶良カルデラ壁で、中腹から湧き出る豊富な水は、薩摩藩時代から藩内随一の水として珍重されていたという。

また福山町は交通の要衝でもあり、大隈半島から藩へ上納される米は同地に集積されて鹿児島方面へ運ばれていた。

まさに、米酢の醸造に必要な「水」と「米」と「環境」の三拍子が揃っているのが黒酢のルーツ福山町なのだ。

 福山町で壺を使用した米酢づくりが始まったのは、江戸時代後期といわれている。

太平洋戦争前には24軒の醸造所があったとされているが、そのほとんどが戦後の米不足や合成酢の出現によって廃業に追いやられたといわれている。

現在、福山町には10社前後の醸造元があり、内7社が坂元醸造を中心とする「鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会」に加入している。

<町全体で10万本の壺>

 福山町では現在、推定で約10万本の壺で黒酢が醸造されている。

醸造元によって壺の大きさも異なるために一概には言えないものの、オーソドックスな三斗樽で正味40万リットル弱が毎年生産されているものと思われる。

 坂元醸造は福山町の黒酢シェアの約7割を占めている。黒酢で我が国初の特定保健用食品を取得したまるしげフーズライフ(前身:まるしげ上田)に原料を卸している重久盛一酢醸造場(通称:マルシゲ)とえがおの黒酢に原料を供給している福山酢醸造(通称:ヤマシゲ)が後に続く。

ほかに、福山町で初めて黒酢レストランを開店した桷志田(かくいだ)は鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会には加入せず、黒酢杜氏歴50年の赤池力氏を前面に押し出すことで独自の販売ルートを開拓している。

(つづく)
【田代 宏】