・12.関節炎と安静
関節は、関節軟骨により、クッション作用が営まれて、骨への衝撃が軽減されている。
軟骨細胞は、コラーゲンやプロテオグリカンを産生する。コラーゲンは、軟骨の硬度を維持し、プロテオグリカンは、軟骨の水分保持作用を維持し、両者により、軟骨のクッション作用が営まれている。
軟骨細胞が、コラーゲンやプロテオグリカンを産生するには、酸素が必要。関節周囲の血行が悪いと、関節軟骨へ酸素が十分に供給されず、軟骨細胞によるプロテオグリカンなどの産生が低下し、死滅した軟骨細胞が、滑膜を刺激し、滑膜に炎症が起こり、関節に痛みが生じる(関節軟骨自体には、神経が存在しないので、関節軟骨から痛みが生じない)。
炎症に伴ない産生されるサイトカインは、軟骨細胞を死滅させ、痛みの悪循環が起こる。
変形性関節症で、痛みが強くても、安静にし過ぎると、関節周囲の血行が低下し、却って、関節軟骨への酸素の供給が低下し、関節軟骨を減らして、痛みの悪循環を起こす。
関節軟骨は、スポンジ状に、圧迫と解放により、酸素や水を吸い込むので、運動により、関節軟骨に、圧迫と解放の刺激(圧力)を繰り返すと、酸素や水分の供給量が増加し、軟骨細胞が活性化される(軟骨細胞を培養して、圧力をかけて、刺激すると、軟骨細胞から産生されるプロテオグリカン量が、2倍に増加する)。
関節周囲の血行を改善し、関節軟骨を刺激するには、脚上げ体操(あしあげたいそう)が良い。脚上げ体操は、患側の膝を伸ばしたまま(反対側の膝は、屈曲して立てる)、踵を10cm程度上げて、5秒間程静止し、その後、下げる動作を、1回20回、1日朝夕の2回行う。
脚上げ体操の効果は、2週間程で現れ、関節の痛みが軽減し、膝を曲げても、痛みが少なくなると言う。