炎症6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ 10.炎症(痛み)を、消炎鎮痛剤で軽減することの問題点
 炎症では、熱感、発赤、疼痛、腫脹が見られる。これらの炎症の四徴は、生体が、患部で、PGE2などを産生し、患部の血流を増加させ、治癒を促進させようとする反応である。
 炎症(痛み)を消炎鎮痛剤(NSAIDsなど)で抑制すると、PGE2などの産生を抑制し、治癒を遅延させてしまうおそれもある。
 炎症(痛み)は、緩和する必要があるが、原因を治さないで、原因に対する結果(生体の反応である炎症)を、完全に抑制することは、却って、悪い結果を招くおそれがある。

 11.急性炎症の生理学
 急性炎症に際しては、炎症の四徴(熱感、発赤、疼痛、腫脹)が現れる。
 急性炎症では、微小循環系血管(細動脈→毛細血管→細静脈)で、以下のような変化が起こる。
 1).血管径と血流の変化
 2).白血球の粘着性亢進と血管外遊走
 3).血管透過性亢進

 血管径と血流の変化は、細動脈側で起こる。
 白血球の粘着(接着)性亢進と血管外遊走や、血管透過性の亢進(血清の滲出)、赤血球の漏出は、細静脈側(特に、毛細血管と細静脈との吻合部附近)で起こる。

 1).血管径と血流の変化
 急性炎症の初期には、侵害が加わった局所で、まず、(細動脈が)強く血管収縮する(血行が低下する)。
 血管収縮に次いで、5分程度後、細動脈の収縮が解除され、血行(血流)が回復し、侵害数十分後には、細動脈が、拡張する。細動脈の拡張により、血流速度や血流量が増加し、拍動性に、微小循環系血管(毛細血管や細静脈も含む)に、多量の血液が流れ、炎症部位(皮膚など)に、熱感、発赤、拍動性疼痛が現れる。
 血流が増加すると、白血球が粘着し、血栓が形成され、血行が阻害される。また、血管透過性亢進が起こり、血液粘稠度が増す。

その結果、血流速度が低下し、血流量が低下する(血行停止)。血流速度が低下すると、赤血球は、連銭形成する。

 2).白血球の粘着性亢進と血管外遊走
 急性炎症があると、血管内皮細胞表面にセレクチンが発現し、血液中の白血球(好中球や単球など)が、特に、細静脈の血管内皮細胞に、粘着(接着)する。
 白血球の粘着性亢進は、侵害数分後から細静脈の血管内皮細胞で起こり、15~30分後に、増強する。侵害後の白血球の粘着性亢進は、数時間後にピークに達し、20時間後には、白血球の粘着性亢進は、消失する。

 3).血管透過性亢進
 急性炎症時には、微小循環系血管は、血管透過性が亢進し、血管内を流れる血液中の血清蛋白が、多量に、組織に漏出し、腫脹(浮腫)が生じる。
 侵害数分後から、主として、静脈側毛細血管や細静脈の血管透過性が亢進する(細動脈や真性毛細血管は、血管透過性が亢進しない)。
 肥満細胞などから放出されるヒスタミンは、血管透過性を亢進させる。
 血管透過性亢進は、即時型と、遅発型(遅延型)の二相性で起こる。
 即時型の血管透過性亢進は、侵害5~10後に起こり、一過性で、持続が短い。即時型の血管透過性亢進は、ヒスタミンやヒスタミン様物質の作用によって起こるので、抗ヒスタミン剤で、抑制される。
 遅発型(遅延型)の血管透過性亢進は、侵害5時間後ぐらいをピークとして起こり、強く、長い時間、血管透過性が亢進する。

炎症における血管透過性亢進は、主に、遅発型の血管透過性亢進。遅発型の血管透過性亢進は、抗ヒスタミン剤で、抑制されない(遅発型の血管透過性亢進には、vasoexinが関与する)。
 ブラジキニン(BK)やプロスタグランジン(PGE2)も、血管透過性を亢進させる。