・3.ヒスタミンの作用
ヒスタミンには、平滑筋収縮(気管支収縮、腸管収縮)、細動脈拡張(発赤、低血圧)、血管透過性亢進、胃酸分泌促進(H2受容体を介する)などの作用がある。
表2 平滑筋収縮作用や血管透過性亢進作用のある化学伝達物質 作用
・ヒスタミン、セロトニン、PGF2α、PGD2、TXA2、SRS-A、PAF
気管支平滑筋収縮 + + + + + + +
血管透過性亢進 + + - + - + +
・血管拡張作用:ヒスタミンは、血管(細動脈、細静脈、および、毛細血管)を著明に拡張させ、紅斑が形成されたり、血圧を低下させる。
・血管透過性亢進作用:ヒスタミンは、毛細血管の血管透過性を亢進させ、蛋白質を含む血漿成分を血管外に漏出させ、粘膜浮腫を生じさせる。
血管内皮細胞は、H1受容体(H1レセプター)を有しており、ヒスタミンが作用すると、収縮して、血管内皮細胞間にgapが形成され(血管透過性が亢進する)、血管腔に突出して、核の表面の凹凸が著しくなる。
・痒み惹起作用:真皮表層で、肥満細胞から放出されたヒスタミンは、C線維上のH1受容体に結合し、中枢神経(脳)に、痒み感覚を伝達する。
・気管支平滑筋収縮作用。
・外分泌腺刺激による分泌物増加作用(粘液分泌亢進)。
・酸度の高い胃液を、多量に分泌させる。
・ヒスタミンは、末梢血管から、プロスタグランジン(E、I2、F2α、D2など)を遊離させる。
・I型アレルギー反応では、プロスタグランジン(PGD2など)は、ヒスタミンと共に肥満細胞から遊離され、ヒスタミンの血管透過性の亢進を増強させる。
他方で、 プロスタグランジン(PGE2、PGE1、PGI2など)は、EP4受容体を介して、アデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化させ、cAMP濃度を上昇(増加)させ、ヒスタミンの遊離を抑制させる。