炎症2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・血液凝固と炎症との間には、関連がある。

 炎症を促進する因子と、炎症を抑制する因子がある。

 1.炎症の四徴
 Calor(heat:熱感)、Rubor(redness:発赤)、Dolor(pain:疼痛)、Tumor(swelling:腫脹)を炎症の四徴と呼ぶ。

 炎症の初期段階では、まず、ヒスタミンやセロトニンが、肥満細胞と血小板から放出される。ヒスタミンやセロトニンは、短時間に、一過性に血管を収縮させる。

続いて、炎症局所(細動脈、細静脈、および、毛細血管)の血管を拡張させ、血流を増加させ、熱感や発赤が生じる。
 また、血管透過性を亢進させ(血管内皮細胞のアクチンが収縮する)、血管内皮細胞の隙間が広がって、全身(血液中)から、白血球(好中球が主:注1)を、局所に浸出させ、血漿などの防御因子を、局所に漏出させ(注2)、腫脹(浮腫)が生じる(注3)。
 血管内皮細胞の破壊に伴ない、血液凝固の第XII因子が活性化され、カリクレイン・キニン系で、ブラジキニン(BK)が産生され、血管透過性が亢進したり、疼痛が生じる。
 単球・マクロファージからは、ブラジキニンの発痛作用を増強する、PGE2が産生され、疼痛が増強される。
 生体は、カゼなどで、体内に炎症が起きた時に、血液凝固を促進させ、血管内を閉塞させ、局所の酸素濃度を低下させ、病原体の増殖を抑制したり、全身に拡散しようとする病原体を、局所に隔離しようとする。また、毒素などが全身に拡散しないようにする。
 なお、発熱は、内因性発熱物質(endogenous pyrogen:EP)であるIL-1、TNF-α、IL-6、IFN-γにより、視床下部の血管内皮細胞が、PGE2を産生し、起こる。
 表1 炎症とメディエーター   徴候   機序   メディエーター
 発赤、熱感  細動脈拡張  PGE2、ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、PGI2、NO
 疼痛  知覚神経(C線維)の刺激  ブラジキニン、PGE2、LTB4
 腫脹(浮腫)  血管透過性の亢進  ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、PGE2、LTC4
 膿  白血球遊走  LTB4、C5a、IL-8
 発熱  体温調節中枢のセットポイント上昇  PGE2

 2.炎症時に「痛み」を感じることは、合目的的である
 ・痛みは、体に異常があることを警告する。

 ・痛みを避けることで、安静を保ち、病変部から病原体が、全身に広がるのを予防する。

ただし、痛みのため、全く、局所を動かさないと、血流が悪くなり、発痛物質が除去されないので、痛みが増悪して、痛みの悪循環が起こり、また、局所の筋力などが低下する。

痛みで、不安を感じたりすると、疼痛閾値が低下して、弱い痛みも、強い痛みとして感ずるようになる。

 ・いったん、COX(COX-2)が活性化された組織では、過敏になり、圧迫刺激などでも、瞬時に痛みが増強する:産生されたブラジキニンなどは、灼熱感のある、神経を刺激するような痛みを発生する。

ブラジキニンが失活すると、痛みが和らぐ。