・4.内分泌かく乱化学物質について
身体の外から侵入して生体の内分泌作用をかく乱する化学物質を、内分泌かく乱化学物質または外因性内分泌かく乱化学物質と称しています。
長い名称なので、環境ホルモンという言葉が使われることもあります。
環境省は約70種類の化学物質を内分泌かく乱作用が疑われる物質としてリストアップしました。
それらの中には室内空気環境に存在する可能性がある物質が含まれています(表4.)。
東京都健康局地域保健部及び健康安全研究センターでは、人がこれらの物質をどの程度吸入しているのか、暴露量を把握するため室内環境中の内分泌かく乱化学物質に関する実態調査を進めています。
なお、健康住宅研究会(国土交通省、厚生労働省、経済産業省他)は、安全な居住空間を実現するために優先的に取り組むべき物質として、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの3物質と木材保存剤、可塑剤、防蟻剤の3薬剤を選定しています。
表4. 室内空気中に存在する可能性がある内分泌かく乱作用を持つと疑われる化学物質
分 類 物 質 名 備 考
プラスチック可塑剤 フタル酸エステル類 多くの種類がある
プラスチック原料等スチレンダイマー・トリマー、
ビスフェノール Aスチレンは生殖毒性がある
有機リン系農薬 マラチオン 現在は使用されていないが関連 物質は多い
ピレスロイド系農薬ペルメトリン、シペルメトリン、
フェンバレレート、エスフェンバレレート 合成ピレスロイドは家 庭用殺虫剤の主流になっている
有機塩素系農薬クロルデン、ノナクロル、ディルドリン 、
DDT、HCH(BHC)これらの有機塩素系農薬はかつて多量に使用されたが、現在は使用されていない
多環芳香族炭化水素 ベンゾピレン 喫煙や自動車、開放型石油ストーブ、調理器具の使用によって生成する