グルタチオン欠乏と肝毒性 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.htm

・「グルタチオン欠乏と肝毒性」
 多くの化学物質は,生体内で親水性の中間代謝物に変換されて毒性を発現するが,グルタチオン(GSH)は,この中間代謝物と反応して解毒作用を示すことが知られている.

著者らは,GSHの合成を阻害する物質であるブチオニンスルホキシミン(BSO)の投与によりGSHが欠乏したマウスを用いて,各種の化学物質の親水性中間体の生成と作用機作を検討してきた.

今回は,各種の樹脂の原料として広く用いられ,吸入によって粘膜の刺激性や中枢神経系の抑制を示すことが知られているスチレンについて検討した.
 本研究では,マウスにBSOを腹腔内投与した1時間後に,スチレンを強制経口投与した.

スチレンの投与に惹起された肝毒性については,血清アミノトランスフェラーゼ(GPT)活性や肝臓のカルシウム濃度などを指標にして検討した.
 その結果,スチレン投与によって,カルシウム濃度およびGPT活性の上昇と小葉中心性壊死を伴った肝毒性が認められた.

一方,肝臓シトクロム p-450 依存性モノオキシゲナーゼの抑制作用を有する数種の化合物の投与により,肝毒性は抑制ないし軽減される傾向が確かめられた.

また,BSO投与マウスに,スチレンの主代謝物であるスチレンオキシドを投与すると,スチレンの場合よりも早く,しかも著しいGPT活性の上昇が惹起された.

これらの結果より,GSH欠乏マウスにおいて生じた肝毒性は,スチレンの代謝が必要であることが示唆された.

また,肝臓蛋白のSH基は,これらの投与の影響は受けず,この系でおこる肝毒性には関与していないと考えられた.
 GSH欠乏モデルによっておこる肝毒性の発現の機序についてはさらに検討が必要である.

特に,スチレンは主に吸入によって体内に入るため,この実験は経口投与で行っている点にも注意しておく必要がある.