燃焼毒性学という考え方 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.htm

・「物が燃えるとなぜ危険なのか? ・・・燃焼毒性学という考え方・・・」
 どのような物質でも燃焼により発生する煙には毒性があり, 高濃度で曝露されると, 目への刺激により視覚障害が発生したり, 窒息性物質の吸入により催眠作用が現れたり, さらに上部および下部気道に炎症を起こしたりする.

火災に巻き込まれた人には身体的能力不全, 判断力障害, パニックが起こることが多く, 救出が遅れるとガスの毒性で死に至り, 火傷が起こり, また, 肺の合併症により遅発性に死亡することもある.

火災で発生する煙の毒性による死亡は, 1930年代に既に注目されているが, 合成物質が多用されるようになった1970年代になるまで, 実験的な研究はなかった.

1970年代になって, 燃焼ガスの毒性, 航空機火災の際に発生する煙の毒性, および多孔性のプラスチックが燃焼した場合に発生する煙の毒性の検討が開始されたり, また, 硬質ポリウレタンフォームが高熱により分解されて神経毒性物質が発生することが報告されたりしたことから, 燃焼毒性の重要性が認識されるようになった.
 燃焼毒性は, まず, 物質が燃焼した場合に発生する煙に含まれる毒性物質を理解することが重要である.

これらの毒性物質として, 一酸化炭素, 二酸化炭素, シアン化水素, ハロゲン酸, 刺激性をもつ有機物の例が挙げられている.
 一酸化炭素は, いぶる場合にも燃え上る場合にも発生する.

いぶった状態から一酸化炭素が発生する機序はまだよく分かっていないが, 一酸化炭素の発生は存在する酸素の量に依存することが分かっている.

また, 一酸化炭素による主たる中毒症状は, 低酸素症, すなわち, 血液の酸素輸送能力低下である.

これは, 一酸化炭素のヘモグロビンとの結合親和力が酸素より約200倍も強いため起こる.

実際火災にあったヒトでは, 一酸化炭素と結合したヘモグロビンの割合は, 1~99%まで様々であったと報告されているが, 死亡したヒトは50~70%のことが多かった.

しかし, この結合率に関しては, 危険とされる明確な閾値がなく, かなり高い値でも生存するヒトもいれば, 逆も場合もある. 個人の酸素要求量に左右されると考えられている.