有害化学物質が男性生殖機能に及ぼす影響 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・「有害化学物質が男性生殖機能に及ぼす影響の調査・研究 現状と将来の取り組み」
 人間でも動物でも父親が溶剤,殺虫剤や金属などに曝露されると, 自然流産の増加,低体重児の出産,先天性異常,幼児性白血病,脳腫瘍,出生児の男女比の変化,など様々な発生や発育に関する障害が増加することが知られている.

特にある特殊な職業,ゴムや石油関連の作業員,農薬などの化学工場の作業員,塗装工,溶接工などの職業の男性は,彼らの生殖機能の異常がその職業と関連があると考えられている.

しかし,その原因となる危険な化学物質は職場だけで曝露されるわけではない.

食物,大気,水や土壌など環境から,あるいは余暇中であっても曝露されることもあり,低用量の化学物質が長期に亘り,一人一人に様々な形で曝露されている.

過去50年間に男性の精子数が減少したという報告によって,環境中の化学物質が男性生殖機能を障害する可能性を科学者に強く認識させた.

しかし,様々な有害物質の曝露により男性生殖機能がどの様に障害されているかは詳細には判明していない.

近年,環境中に存在するホルモン作用を持つ物質いわゆる環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)の問題が重要視されてきたために,これらの物質が男性生殖機能に及ぼす悪影響も多少判明してきた.

しかし,男性生殖器は非常に複雑な器官であるため,男性生殖機能に障害を受けているか否かは1回の検査では解明できない.

さらに,通常多種類の物質に曝露されることが多く,体内で複数の有害物質が反応し,さらなる障害が引き起こされている可能性も大きい.

この論文は,1998年に開催された有害化学物質と男性生殖機能に関する会議での発表を基に作成されたもので,男性生殖機能に関する影響の調査・研究の現状と今後の取りくみをまとめたものである.
 無脊椎動物から哺乳類までの様々な野生生物においても雄性生殖機能に異常が認められているという報告は多く,その一因であると考えられる有害物質も判明してきている.

これらの野生生物で認められた障害は,人間の男性生殖機能への影響に反映するものであり,野生生物の調査・研究から,男性生殖機能への危険性の評価や,危険な化学物質の選定が可能となる.