・一般演題
気管支喘息:病態と治療1
座長:滝澤 始1), 下田照文2), 横山彰仁3)(1)東京大学呼吸器内科, 2)国立病院機構福岡病院アレルギー科, 3)広島大学分子内科)
MS1-1-10.ステロイド漸減後にフロセミド吸入が奏功した気管支喘息に伴うブロンコレアの一例
小柳久美子 灰田美知子
半蔵門病院 アレルギー呼吸器内科
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ブロンコレアは粘稠度が低い卵白様の痰が1日100ml以上喀出される病態である.
治療は血管透過性亢進の抑制と気道分泌腺からの分泌抑制作用を有するとされるステロイドに頼らざるを得ないが,フロセミド吸入を併用したことで喀痰量減少をみた一例を経験した.
症例は39歳女性,喘息発作のため入院しリン酸ベタメサゾンナトリウム4mg/日を使用し自覚症状とPEFの改善を認めたが,痰が減らないことを訴え,180ml/日以上の喀痰と気管支鏡生検による杯細胞の増加と基底膜の肥厚,粘液の増加を認めブロンコレアと診断された.
ステロイドの副作用で緑内障が出現したためステロイドは漸減(1mg/隔日)し,インドメタシンナトリウム3mg/日吸入を併用したが改善が認められなかった.フロセミド吸入60mg/日を併用したところ,喀痰量は4週間目で40ml/日に改善した.
フロセミド吸入はClイオンの分泌抑制作用を有することから気道内への受動的水分分泌も減少し,喀痰量の減少が期待できるとされている.
ステロイドが治療の根幹となる病態であるが,無効であったり副作用の出現などの理由で他剤を併用する場合も多い.
本症例はステロイドを最小限にとどめ他剤を併用したことで軽快した一例であった.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催
runより:ブロンコレア(気管支漏)
卵の白身のような外観を呈した喀痰を1日に100ml以上、難治時に喀出する病態。患者はかなりの苦痛を伴うがほとんどの場合心理的なものと判断され、診断も治療も受けられず難治化していく。専門医による適切な診断と専門医の下での治療が必要。喘息にブロンコレアが合併すると難治性喘息に移行する事が多い。
フロセミドは利尿剤でラシックスも同じです。
リン酸ベタメサゾンナトリウムは抗生物質です。