・一般演題
薬物アレルギー1
座長:小林信之(国立国際医療センター呼吸器科)
422.清心蓮子飲による薬剤性肺炎の1例
豊嶋幹生1,2) 妹川史朗1,3) 内山 啓1,3) 須田隆文1) 千田金吾1)
浜松医科大学 第二内科1) 浜松労災病院 呼吸器科2) 磐田市立総合病院 呼吸器科3)
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【症例】62歳,男性.
平成18年2月健康診断にて前立腺肥大を指摘され,自己判断にて4月1日より市販の清心蓮子飲(商品名ユリナール)3包/日を内服開始したところ,5月15日より咳嗽,呼吸困難,発熱が出現したため,5月21日当院を受診した.
胸部X線および胸部CT上びまん性スリガラス状影を認めた.WBC12100/mm3,CRP 10.2mg/dl,KL-6 1580U/mL,清心蓮子飲に対するDLST S.I. 241%と陽性,PaCO2 32.9 Torr,PaO2 48.4 Torr,ステロイド治療開始後に施行した気管支肺胞洗浄(BAL)ではリンパ球13.0%,好中球3.0%,好酸球4.0%,CD4/CD8比0.1,経気管支肺生検(TBLB)にて胞隔炎および肺胞上皮の剥離を認めた.
低酸素血症および胸部陰影が遷延したため,ステロイドパルス療法を3クール施行し,呼吸状態・画像所見の改善を認め,PSL30mgからの後療法を行い軽快した.臨床経過・画像所見・BAL・TBLB所見より清心蓮子飲による薬剤性肺炎と診断した.
【考察】小柴胡湯と同様に清心蓮子飲5.4g(3包)中2.1gのオウゴンが含まれており,過去の症例報告と合わせて,同成分が原因と推定された.
市販薬においても重篤な薬剤性肺炎が発症しうる点に留意すべきであり,一般社会への啓蒙も必要と考えられる.
第56回日本アレルギー学会秋季学術大会 2006年11月開催