・一般演題
薬物アレルギー2
座長:浅田秀夫(奈良県立医科大学皮膚科)
P5-2-9.セフトリアキソンによるアナフィラキシーショック後肺水腫の一例
安東 優, 山末まり, 貞村祐紀子, 小野恵美子, 上尾真実, 伊東猛雄, 竹中隆一, 濡木真一, 宮崎英士, 熊本俊秀
大分大学総合内科学第三
--------------------------------------------------------------------------------
症例は81歳男性.2年前より肝細胞癌に対しラジオ波焼灼療法が開始された.その際,感染予防のためセフトリアキソン(ロセフィン®)の点滴を受けていた.これまで8回,同薬剤を点滴されたが副作用はなかった.
今回点滴開始約10分後突如意識が消失し,アナフィラキシーショックと診断され,酸素投与,エピネフィリン,ステロイド投与,急速補液が開始された.
意識消失は速やかに改善したが,低血圧は遷延し,呼吸困難感は増悪した.6時間後,高濃度酸素投与にても低酸素血症から離脱できないため,当院へ緊急搬送された.
胸部レントゲンでは両側にびまん性浸潤影を認め,アナフィラキシーショック後肺水腫と診断した.
NIPPV,メチルプレドニゾロンパルス,シベレスタットナトリウムを開始したところ,速やかに反応したため,ステロイドの漸減内服に切り替え第16病日に退院した.後日施行したセフォトリアキソンに対するDLSTは陽性であった.
セフトリアキソンによるアナフィラキシーの頻度は稀ではあるが報告が散見される.
しかし,同薬剤によるアナフィラキシーショック後肺水腫の報告は我々が検索しえた範囲で1例しかなく,貴重な症例と思われた.
第22回日本アレルギー学会春季臨床大会 2010年5月開催