・一般演題
薬物アレルギー1
座長:足立厚子(兵庫県立加古川医療センター)
P5-1-7.mFOLFOX6投与12コース目に発生したoxaliplatinによる薬剤性肺障害の1例
本間哲也, 黒川真嗣, 山本義孝, 松倉 聡, 家城光志, 尾高美保, 鈴木慎太郎, 渡邊 伸, 佐藤将之, 足立 満
昭和大学医学部呼吸器・アレルギー内科
--------------------------------------------------------------------------------
症例 79歳,男性.
現病歴 当院通院中に便潜血陽性を認め,2008年冬に大腸内視鏡を施行.
診断は多発性の肝臓及び肺に転移性腫瘍を伴うS状結腸癌.
診断翌月から進行性大腸癌に対しmFOLFOX6(oxaliplatin,5-FU,l-LV)を開始.経過 2009年夏にmFOLFOX6 12コース目を施行,第2病日に全身発赤と呼吸苦が出現.同日の胸部画像所見で元来認められていた転移性肺腫瘍の他に両肺野に新たなびまん性浸潤影が出現.
血液検査ではWBC8800(Eos792),CRP5.5,IgE1800.薬剤性肺障害の疑いで,プレドニンパルス療法を開始し,速やかに低酸素血症は改善.第15病日にプレドニン30mg/日を内服のもと退院.
DLSTでoxaliplatinは陽性,他薬剤は陰性.
原因薬剤はoxaliplatinと診断.その後,2nd lineの化学療法としてFOLFIRI(CPT-11,5-FU,l-LV)を行っているが,新たな浸潤影の出現はなく薬剤性肺障害は軽快傾向にある.
結語 プラチナ製剤のoxaliplatinを含むmFOLFOX6は進行性大腸癌に対する標準的療法である.
本例は12コース目に発症したoxaliplatinによる薬剤性肺障害であり,ステロイドパルス療法が著効した.
mFOLFOX6による薬剤性肺障害は比較的まれであり,文献考察も含め報告する.
第22回日本アレルギー学会春季臨床大会 2010年5月開催