・出典:日本東洋医学会
http://www.jsom.or.jp/universally/
・http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/920013.pdf
漢方治療エビデンスレポート 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
呼吸器系の疾患(インフルエンザ、鼻炎を含む)
1. 目的
漢方薬の慢性鼻炎および慢性副鼻腔炎に対する効果
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験(封筒法) (RCT-envelope)
3. セッティング
大学 1施設 病院 5施設
4. 参加者
1989年1月26日から1998年4月5日まで受診した初診の花粉症
鼻アレルギーのない慢性鼻炎患者 6名
慢性副鼻腔炎患者 61名
5. 介入
1992年11月から1990年6月まで。封筒法による群分け。
Arm 1: ツムラ辛夷清肺湯エキス顆粒 7.5g x3 39名
Arm 2: ツムラ四逆散エキス顆粒 7.5g x3 28名
6. 主なアウトカム評価項目
自覚症状: 鼻漏、鼻のかみやすさ、後鼻漏、鼻閉、頭重(痛) 、嗅覚障害
他覚所見: 鼻粘膜の発赤、鼻粘膜の浮腫、鼻汁の性状
検査: 鼻汁中好中球検査、鼻腔通気度
7. 主な結果
自覚症状について、軽度改善以上はArm 1で76.3%、Arm 2で59.3%であり、有意差は認められなかった。
他覚所見もArm 1で60.5%、Arm 2で70.4%と有意差はなかった。
鼻汁中好中球検査、鼻腔通気度にも両群に有意差はなかった。
8. 結論
(池田勝久, 高坂知節, 草刈潤, ほか. 慢性副鼻腔炎等に対するレフトーゼの治療成績-成人と小児の臨床効果の比較-. 耳鼻臨床1984; 77: 1863-69.) 前回の論文により慢性副鼻腔炎に対しレフトーゼが軽度以上改善63%の効果を示している。今回の漢方薬が勝るとも劣らない効果を示すことが判明。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
辛夷清肺湯で胸内苦悶感を訴えた1名があったが薬剤との因果関係は低いと判断した。
11. Abstractorのコメント
慢性副鼻腔炎に対し1990年頃より14員環マクロライド系抗菌薬の長期少量投与がおこなわれはじめ、現在の保存治療の標準となり、レフトーゼ等消炎酵素剤は症状緩和のため併用されている。
それ以前レフトーゼ等は一般的に用いられる主要な薬剤であり、1990年頃耳鼻科の医師より(それなりに十分) 効果があったと聞いている。
12. Abstractor and date
藤澤 道夫 2009.6.1, 2010.6.1