かぜ症候群後咳嗽に対する麦門冬湯の有効性と安全性の評価 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:日本東洋医学会
http://www.jsom.or.jp/universally/
http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/010007.pdf
漢方治療エビデンスレポート 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース

呼吸器系の疾患(インフルエンザ、鼻炎を含む)
1. 目的
かぜ症候群後咳嗽に対する麦門冬湯の有効性と安全性の評価
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験(RCT)
3. セッティング
新潟大学医学部第二内科、総合病院内科
4. 参加者
他の原因疾患を除外した非喫煙かぜ症候群後咳嗽患者25名
5. 介入
Arm 1: ツムラ麦門冬湯エキス顆粒投与9.0g×7日投与、13名
Arm 2: 臭化水素酸デキストロメトルファン60mg×7日投与、12名
6. 主なアウトカム評価項目
範囲0~9ポイントの咳嗽スコア(毎日の咳嗽の強度と回数)
7. 主な結果
Arm 1: 7日目に咳嗽スコアは5.4±1.7から1.5±1.3と有意に減少した。
Arm 2: 7日目に咳嗽スコアは4.1±2.0から1.8±1.3と有意に減少した。
Arm 1はArm 2に比べて早期に効果が認められた。
8. 結論
麦門冬湯は非喫煙者のかぜ症候群後咳嗽に対して有効であり、その効果の発現は早期である。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
両群に重篤な副作用を認めなかった。
11. Abstractorのコメント
全例が4週間以内に治癒している。

臭化水素酸デキストロメトルファンは咳嗽を抑制するが、そのことが逆に治癒過程を長引かせている可能性もある。

従って麦門冬湯が非喫煙者のかぜ症候群後咳嗽に対して有効であるかどうかは、プラセボを用いた自然経過との比較が必要。

また咳嗽スコアは主観的指標である。

客観的指標による評価が必要。

漢方医学的にはかぜ症候群後の咳嗽の病態は多様である(傷寒論) 。

それぞれの病態に応じて異なった処方が適用される。麦門冬湯が有効でない病態もある。
12. Abstractor and date
岡部哲郎 2007.6.15, 2008.4.1, 2010.6.1