・出典:日本東洋医学会
http://www.jsom.or.jp/universally/
http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/030005.pdf
漢方治療エビデンスレポート 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
神経系の疾患(アルツハイマー病を含む)
1. 目的
腰椎由来の腰下肢痛に対する牛車腎気丸の有効性の評価
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験(cross over) (RCT- cross over)
3. セッティング
1一般病院、1大学病院
4. 参加者
6ヶ月以上の腰下肢痛を主訴とする60歳以上の腰椎変性疾患の患者20名。
5. 介入
Arm 1: 牛車腎気丸エキス顆粒7.5g/日内服を4週間、その後ベンフォチアミン75mg/日内服を4週間。10名
Arm 2: ベンフォチアミン75mg/日内服を4週間、その後牛車腎気丸エキス顆粒7.5g/日内服を4週間。10名
各群とも1名ずつ、牛車腎気丸投与時に消化器症状がみられた症例は統計から除外
6. 主なアウトカム評価項目
自覚症状(安静時腰痛、体動時腰痛、安静時下肢痛、体動時下肢痛、下肢のしびれ感、下肢の疲労感) 、血液・生化学検査、尿検査
7. 主な結果
ベンフォチアミン投与後に比べ牛車腎気丸投与後に有意な自覚症状(安静時腰痛、体動時腰痛、下肢のしびれ感) の改善を認めた。
8. 結論
牛車腎気丸は腰椎由来の腰下肢痛に対して有効である。その効果は、ベンフォチアミンより優れている。
9. 漢方的考察
Arm 1、Arm 2ともに腎虚例は6名で、腎虚の有無による効果の差はみられなかった。
10. 論文中の安全性評価
牛車腎気丸投与群で20名のうち2名が消化器症状のために投与中止となった。血液・生化学、尿検査での異常は両群ともになかった。
11. Abstractorのコメント
牛車腎気丸の腰・下肢痛に対する効果を示唆した論文である。
症例数が少ないため、腎虚の有無による効果の評価はより多数例での臨床試験が望ましいと考える。
12. Abstractor and date
小暮敏明 2007.6.15, 2008.4.1, 2010.6.1