顔面痙攣に対する芍薬甘草湯の有効性を評価する | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:日本東洋医学会
http://www.jsom.or.jp/universally/

http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/910004.pdf
漢方治療エビデンスレポート 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
神経系の疾患(アルツハイマー病を含む)
文献
木村裕明, 大竹哲也, 石倉秀昭. 顔面痙攣に対する芍薬甘草湯の効果. 診断と治療1991; 79: 2505-8.
1. 目的
顔面痙攣に対する芍薬甘草湯の有効性を評価すること
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験(RCT)
3. セッティング
1つの病院(麻酔科外来)
4. 参加者
顔面痙攣で来院した20名(男3名、女17名) 。平均年齢58.3歳。全例に中枢性筋弛緩薬(afloqualone 15名、tolperisone hydrochloride 3名、tizanidine hydrochloride 2名) およびマイナー・トランキライザー(diazepam 11名、etizolam 9名) が投与された。
5. 介入
Arm 1: ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒投与群10名(男2名、女8名) 。

9名にはツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒7.5g/日、1名は5.0g/日を投与。
Arm 2: 芍薬甘草湯投与なし。10名(男1名、女9名) 。
6. 主なアウトカム評価項目
重症度を4段階評価(痙攣消失、まれに痙攣、反復的に痙攣、持続的に痙攣) し、治療前、4週後、8週後、12週後、16週後に評価
7. 主な結果
治療前の重症度は両群に差はなかった。

両群とも経過とともに重症度が減少し、4週および8週では有意差を認めなかったが、12週と16週では芍薬甘草湯投与群の方が有意に減少した(12週p<0.05, 16週p<0.05) 。
8. 結論
顔面痙攣の治療で、中枢性筋弛緩薬とマイナー・トランキライザーに芍薬甘草湯を併用することで痙攣症状が有意に減少する。
9. 漢方的考察
著者らは「芍薬甘草湯は、漢方製剤を処方する場合に考えなければならない「証」を考慮せずに用いることができ、顔面痙攣に対して有用な薬剤であると思われる」と記述している。
10. 論文中の安全性評価
芍薬甘草湯によると思われる副作用は1名もいなかった。
11. Abstractorのコメント
EBMという言葉が出始めた1991年に漢方領域でRCTを実践したということにまず敬意を表したい。

しかしCONSORTに照らし合わせながら振り返ると気になる点がいくつかある。両群の背景に差はないとしているが、両群に使用した薬剤や投与量が異なりバイアスが入った可能性がある。

またブラインド化がなされたかどうかも気になるところである。

より厳格なデザインでの再評価を期待したい。
12. Abstractor and date
鶴岡浩樹 2008.9.26, 2010.6.1