葛根湯の断眠後の眠気に対する有効性 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:日本東洋医学会
http://www.jsom.or.jp/universally/

http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/920010.pdf
漢方治療エビデンスレポート 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース

神経系の疾患(アルツハイマー病を含む)

1. 目的
葛根湯の断眠後の眠気に対する有効性
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験(cross over) (RCT-cross over)
3. セッティング
富山医科薬科大学附属病院医学部精神神経医学教室
4. 参加者
健常な女子学生(年令20-21才) 7名
5. 介入
Arm 1: 実験2日目にカネボウ葛根湯エキス細粒2.5gを1日3回毎食前に内服。7名
Arm 2: 実験2日目にプラセボ(乳糖) 2.5gを1日3回毎食前に内服。7名
6. 主なアウトカム評価項目
自覚的眠気(Sleepiness Scale) 、Critical Flicker Frequency (CFF) 、Multiple Sleep Latency Test (MSLT) 、血圧、心拍数、体温
7. 主な結果
各時間帯における比較では、自覚的眠気は、実験日2日目の10時の時点で、Arm 1はArm 2に比較して有意に軽減を認めた(p<0.05) 。

CFFとMSLTに関してはArm 1とArm 2で差を認めなかった。

実験日2日目の平均値では、自覚的眠気、CFF、血圧、心拍数、体温はArm 1とArm 2で差を認めなかった。

MSLTでは平均潜時はArm 1でArm 2に比較して有意に長かった(p<0.05) 。
8. 結論
葛根湯は断眠後の眠気の軽減に有効である。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
記載なし
11. Abstractorのコメント
クロスオーバー試験を用い、葛根湯の断眠後の眠気軽減効果を、自覚症状と脳波検査による他覚的検査により評価した優れた臨床研究である。

著者らも考察で述べているように、葛根湯の有効時間帯が自覚症状と他覚的検査でずれがあり、眠気の評価が容易でないと考えられる。

また、ジュースで内服する様にし、投薬に関するブラインド化を試みているが、不完全と考えられカプセルへの充填などが用いられると理想的であった。

しかし、症例数を追加することで、有意差の生じると考えられる項目もあり、漢方薬の薬効を明らかにする上で、興味深い報告である。

また、本研究結果の脳波の解析をさらに追加した原著論文で「萩野宏文, 金英道, 倉知正佳, ほか. 定量脳波からみた葛根湯のヒトの断眠後の眠気に及ぼす影響について. 脳波と筋電図1995; 23: 361-7.」があり、定量脳波における各周波数帯域の相対パワー値の評価で、葛根湯群は、%δが16: 00と18: 00にプラセボ群に比べて有意に低く、%αは16: 00の段階でプラセボ群に比べて有意に高かったと報告している。
12. Abstractor and date
後藤博三 2008.8.19, 2010.6.1