・■朝日10月5日 除染技術学び生かす 業者育成へ福島県が講習会 試験合格で「修了証」
放射性物質を取り除く除染についての知識と技能の習得を目的に、福島県主催の初めての講習会が4日、郡山市で開かれた。
定員を上回る応募があり、県内各地から建設、塗装、清掃の業者ら113人が参加。
2日間で座学と実習を受講し、最後の試験に通れば「修了証」が与えられる。
除染を仕事にしようという業者向けの講習会は初めて。
東京電力福島第一原発事故に見舞われた福島県では、今後除染が本格化する。県の担当者は「広い範囲で除染が行われる。
行政だけでは無理で、民間の力を借りて進めたい」と説明。
講習会を通じて、効果的に作業にあたる技術をもった業者を育成したい考えだ。
震災で職を失った人たちの雇用確保にもつなげる狙いがある。
年内に県内で計10回(各2日間)開催し、約1干人が参加する見通しだ。
この日の会場は、郡山市の県ハイテクプラザ。日本原子力研究開発機構の専門家が講師を務め、同機構が作成したテキストを基に講義した。
今回の原発事故の概要▽放射線の基礎▽放射線の安全な取り扱いのカリキュラムで、除染の方法が具体的に説明された。
2日目は、除染に関する安全衛生の留意点や放射線の人体への影響の講義に加え、実習がある。放射線量測定器(サーベイメーター)などの操作方法を学び、屋外に出て、側溝などの放射線量を実際に測定する。
積算線量計などの使い方も教わる。
課程の最後は試験。講習で学んだ内容について、○×式で20問のうち6割以上の正解で「修了証」が与えられる。
修了証について県は「資格ではないが、きちんと学んだことの証し」と言う。
参加した建設会社社長の加藤大蔵さん(48)は、原発事故で警戒区域になっている福島県楢葉町から同県いわき市に避難している。
「除染は誰かがやらなければいけない。これから経験を積んで、警戒区域が解除された時には真っ先に除染に加わりたい」と話した。
吉田二一さん(63)は勤め先の建設会杜から受講を勧められた。
警戒区域の同県大熊町から郡山市に避難し、会杜も同町からいわき市に移転中。
「除染の範囲は計り知れない。実際に除染の仕事が来た時のために受けに来た。講習会で得た知識を現揚で生かしていきたい」と言う。
県が9月上旬、10回のうちの前半5回の参加者計500人を募集したところ、数日で定員を超え、結局1千人以上の応募があった。
原則先着順で受講者を決めたが、「なぜ受けられないのか」といった要望や問い合わせの電話が相次いだという。
6510回目の受講者は6~14日に受け付ける。
県は来年以降も、講習会の開催を続けていくという。(木村俊介)
■講習会で示された除染時の主な留意点
・期間や作業内容などの目標を具体的に立てる
・作業揚所への人や車両の進入を制限する
・作業の前後や最中に放射線量を測り、記録する
・できるだけ肌が出ない服を着る。作業時にマスクは外さない
・屋根など高い場所から地面や側溝など低い場所の順に
・作業中にけがで出血したら、流水で血ごと洗い流す
・着た衣類や使った器具はすぐに洗浄、清掃する
(講習会で使うテキストから)