・一般演題
膠原病
座長:佐野 統1), 土肥 眞2)(1)兵庫医科大学内科学リウマチ・膠原病科, 2)東京大学医学部アレルギー・リウマチ内科)
MS8-1.膠原病患者における薬疹出現時のリンパ球減少
赤平理紗 猪熊茂子 瀬戸口京吾 吉田 希 菊地聡子
都立駒込病院 アレルギー膠原病科
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背景 膠原病に薬疹を合併した場合,原病に伴う皮疹との鑑別が問題となる.また薬疹成立機序は未解明である.
方法 1994年から2006年までの膠原病入院例で,薬疹合併症例のうち検索の終了した28例30件.性,年齢,原病,被疑薬,発熱,CRP,末梢血白血球数,自己抗体を比較検討し,検索しえた例ではCD4/CD8に関しても検討した.
結果 男:女=4:24.年齢56.6±17.4歳.RA11例,SLE6例,SjS5例,MCTD3例,DM2例,他5例.
被疑薬はDMARD12件,抗生剤等8件,向精神薬3件,アロプリノール3件,他6件.自己抗体はSSA陽性が14例.発熱20件,CRPは薬疹出現前と比較して1.0mg/dL以上の上昇を伴ったのは14件.
末梢血リンパ球数は薬剤投与開始時1.40±0.75×103/μL,薬疹出現時0.98±0.70×103/μL,回復後1.79±0.94×103/μLで薬疹出現時に減少.2症例では薬疹出現時から回復時にかけてCD4/CD8<1からCD4/CD8>1へ推移する現象が認められた.
また1件の薬疹の病理組織ではリンパ球主体の炎症細胞の浸潤を認めた.結語 薬疹出現当初から末梢血リンパ球数の減少傾向が認められ,皮疹消退と共に回復することより末梢血リンパ球数は薬疹の鑑別の指標となる.
皮膚所見はこれを支持する可能性がある.更に薬疹経過中にCD8優位からCD4優位への移行が示された.
第56回日本アレルギー学会秋季学術大会 2006年11月開催