・ウリミバエ再発生防止へ 不妊虫を更新
沖縄タイムスより
県病害虫防除技術センター(那覇市)は、農作物に寄生して被害を及ぼすウリミバエの再発生防止に向け、人工的に生産しているウリミバエ不妊虫を長年使用してきた沖縄産から台湾産野生虫に切り替えた。同センターの松山隆志主任研究員の研究成果をもとに、不妊虫用に限ってウリミバエの輸入が初めて認められ、切り替えが実現した。
野生虫への更新について農業関係者は「仮に再発生しても、防除効果の高い野生虫だと撲滅期間が短縮でき、損失を抑えることができる」と期待する。
(照屋剛志)
切り替えは台湾農業試験所の協力を得て、今年3月から開始。
6月までにすべての不妊虫を台湾野生虫に切り替えた。
同センターの不妊虫は、根絶事業実施中の1985年に県内で捕まえたウリミバエを自然界から隔離し、人工的に生産してきた。
20年以上同系統を使用し、子孫は700代を超えるという。
そのため生体の変異による繁殖能力低下が懸念されていた。
しかし、ウリミバエは国内では撲滅されて生息しない上、海外からの輸入が禁じられていたため、自然界のウリミバエへの切り替えができずにいた。
松山氏の研究では、同センターの不妊虫の場合、フェロモンを放出して求愛行動をする虫が野生虫に比べ6割以上少なく、交尾の時間帯が約1時間遅れるなど、交尾競争力が低下していることを科学的に証明。
平均寿命も半分近くまで短くなっていた。
不妊虫の効率的な産出や防除態勢の強化が課題となっていたことから、2008年に植物防疫法施行規則が改正され、不妊虫用のウリミバエの輸入が認められた。
松山氏は「ウリミバエが大量発生すると県経済に100億円の損害を与えるとされている。自然界の虫に入れ替えたことで防除効果の向上が期待できる」と話した。
ウリミバエは1993年に撲滅されたが、台湾や中国などの近隣諸国に生息しており、同センターは「沖縄は飛来による再発生のリスクがある」と指摘。
1週間で最大7000万匹の不妊虫を生産。県内各地に放し、防除活動を続けている。
runより:農薬がなくても虫退治はできる。沖縄で見てきた事です。