・私たちは、早速、前記2メーカーと日本繊維製品防虫剤工業会にどのような条件で、パラジクから、どのようなPCBがどの程度生成するか、ダイオキシン類のひとつコプラナーPCBはできないかなど24項目の問合せました。
その回答は後述するよう身のないもので、現在、所管の厚労省へ問合せ中です。
1999年、環境省の調査で、有明海の海水に高い濃度のダイオキシン類が検出され、その原因を追及した結果、大牟田川水系にある三井化学大牟田工場の塩素化ベンゼンプラントが汚染源の元凶とされました。
ここでは、パラジクなどが製造されていました。
2001年1月、私たち市民団体は、身の回りで使用されているオルトジクロロベンゼンやパラジクにダイオキシン類が含有されていることを懸念し、厚労省に製品調査を申し入れました。
しかし、同省は独自の分析調査を実施せず、防虫剤工業会に調査を指導しただけでした。
その後、原体及び製剤メーカーが公表した分析結果では、コプラナーPCBを含むダイオキシン類はすべて、検出限界以下でした。
2002年の東京都の分析ではパラジク含有防虫剤と防臭剤にダイオキシン類が検出されています。
さらに、同年、日本繊維製品防虫剤工業会は、会員会社のパラジク製品のひとつからコプラナーPCBが90pg/g検出されたと報告しています。
また、2002年には、市民団体がダイオキシン類調査を実施した結果、ダイオキシンとジベンゾフラン及びコプラナーPCBの合計値は0.011 から0.99pgTEQ/g(実測値で0.96から130pg/g)でした。
エステー社の ネオパラエースから、ダイオキシンとジベンゾフラン類が合計で0.09pgTEQ/g(実測値2.6pg/g)が検出されました。
白元社のパラゾールから、PCBが0.011pgTEQ/g(実測値110pg/g)が検出されました。
★まともに答えない業界~蛍光灯照射でPCB-31が生成したとだけ
PCB生成について、日本繊維製品防虫工業会が、メーカーを代表する形で、答えてきました。その要旨は以下のようです。
①パラジク製の防虫剤(含む防臭剤)を分析し、微量のPCBの存在を確認した。
②防虫剤等に蛍光灯の光を照射することにより、PCBの生成を確認する試験を実施した。
その結果、生成するPCBは、PCB-31(2,4',5トリクロロビフェニル)がほとんどであると判明した。
③試験により得られた結果を基に、化学物質評価研究機構安全性評価技術研究所にてリスク評価をおこなった。
ワーストケースのPCB-31の生成量を推算し、環境中の水生生物および一般環境中のヒト健康に対するリスクは問題とならないレベルであると確認された。
④PCBの生成を抑制するために包装材料の光透過率を減衰させる対応を会員各社に指導し、すでに対応している。
でした。
そして、最後に『いただきましたご質問のうち、企業情報につきましてはお答えいたしかねますことご理解いただきたく存じます。』とありました。
PCBの生成量がどの程度か、コプラナーPCBは生成しなかったのか、リスク評価でヒトや環境に影響ないと結論づけた理由はなにか、遮光効果で、どの程度PCB生成は減ったか、室内空気や水系を汚染しているパラジクが光反応によりPCB化しないかなど、私たちが知りたい基本的な疑問に全く答えてくれない業界の態度は、消費者をないがしろするものだと思いました。