・出典:耳鼻科50音辞典
http://homepage1.nifty.com/jibiaka50/index.htm
【嗅覚異常から異嗅症】
嗅覚障害、あるいは錯臭、自己臭も参考にしてください。
すでに臭いの障害とともに錯嗅症も書いたのですが、 最近そういった
器質的、 あるいは錯臭、自己臭のように心因的な嗅覚異常以外に
「本来のにおいと違って感じる」あるいは「何を嗅いでも同じにおいに感じる」など、嗅覚の質的な異常が問題になっています。
ただ定義は一定せず代表的な2例を書いておきます。
1)ある特定のにおいに対してそれが本来もってるにおいとは異なったにおいとして感じる症状。
この場合におい感覚を引き起こす刺激物質が実際に存在するということが
絶対条件です。
実際患者さんが感じるにおいの感覚としては、複数である場合と単一である場合がありますが、その病態は両者は微妙に異なっています。
我が国ではこのparosmiaを
1-1 異臭症1 複数のにおいと感じる場合
1-2 異臭症2 どんなにおい刺激でもいつでも単一のにおいと感じる場合
その原因については
1-1 異臭症1
複数のにおいと感じる場合は機能する嗅細胞が減少したためで、感冒罹患後の嗅覚異常および嗅細胞レベルでの障害。
嗅覚脱失までは至らない場合に起こり得るとされ、その予後は良好です。
1-2 異臭症2
どんなにおい刺激でもいつでも単一のにおいと感じる場合、
何を嗅いでも同じにおいにしか感じない、という場合は病態としては
1-2 異臭症2-1 先の1の異臭症1がさらに重篤になったもの。
1-2 異臭症2-2 嗅細胞の完全消失後に再生した嗅細胞と中枢が神経吻合する際にミス結合が起こった場合
2)におい物質が存在しないにもかかわらずにおいの感覚がおこる症状
今までは錯臭や自己臭として、心因性として一括されてた面もありますが
そうでない場合もあることも書いておきます。
つまりここでは神経精神医学的な原因があきらかでない、自発的異常嗅感は
欧米ではphantosmiaといわれます。
2-1 自発的異常嗅感
例を挙げると、
耳鼻科では頭部外傷後が多いのですが、常に何かにおいがしている、たとえようがないにおい、今かで嗅いだことがないにおい などと表現されています。
また嗅覚高位中枢の障害では過去に経験したにおいが常に鼻についてる と訴えることも多いです。
2-2 嗅覚幻覚(olfactory hallucination)
実際はにおいがしないのににおいがする現象。
これは精神疾患でも見られます。
2-3 鉤発作(uncinate fit)
てんかん発作の一症状。側頭葉の病変により誘発される異常嗅感。
3)その他
3-1 悪臭症 cacosmia
副鼻腔炎、 萎縮性鼻炎、 など後上気道の疾患により実際に悪臭を発してる状態で厳密には嗅覚障害とは言えません。もちろん原疾患の治療が第一です。
3-2 嗅盲(olfactory blindness)
きわめてまれで、 ある特定のにおいだけを感じない先天性の嗅覚障害。
runより:シックハウス症候群や化学物質過敏症と似てる症状ですが、他の症状は出ない所に違いがあります。
シックハウス症候群の自己判断の1つの目安です。