・出典:社団法人東洋医学会関東甲信越支部栃木県部会
http://dome.ruru.ne.jp/tomura/touyouigakutochigi01.htm
・[教育講演1]
肺気腫、COPDと漢方補剤
杉山 幸比古
(自治医科大学 呼吸器内科)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は主に喫煙により、完全に可逆的ではない気流制限を生じる疾患で、肺気腫と慢性気管支炎が含まれる。
肺気腫患者では、多くの例でヤセがみられ、呼吸筋力の低下が認められる。また、感冒をきっかけに急性増悪をきたし、入院する例も多い。
COPDに対しては、気管支拡張剤を中心とした治療と症例によっては吸入ステロイドも用いられるが、対症療法の域を出ない。
インフルエンザや肺炎球菌ワクチンも用いられるが、通常のカゼウィルスに対しては無力である。
こういった西洋医学の限界がCOPD治療においては存在する。
我々は、漢方薬の中の補剤に注目してCOPDへの応用を試みてきた。
即ち補剤は、消化吸収能力をupさせて栄養面からの改善をはかり、それと共に、本来ヒトが有している免疫能を高めることにより、カゼなどにかかりにくくなると考えられる。
補剤の中でも特に補中益気湯について、COPDに対する実際の経験と、基礎的な免疫賦活能について、臨床と基礎の両面からの紹介を行いたい。