自閉症と水銀の関係:シリーズ(1)11 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・5.我が国および国際機関等におけるリスク評価
(1)厚生労働省
1973年7月、厚生省(現在の厚生労働省)が設置した「魚介類の水銀に関する専門家会議」が、第16回JECFAの評価結果、1日あたり0.25mgの摂取量が最低発症量との水俣病患者等の研究結果および動物実験から、体重50kgの成人の1週間の暫定的摂取量限度を0.17mg/人/週(0.5μg/kg体重/日相当)とする意見の提出を行った。(薬事・食品衛生審議会(17))。
(2)FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA①1972年4月、第16回JECFAにおいて、総水銀とメチル水銀の暫定耐容週間摂取量を設定した。

暫定耐容週間摂取量を総水銀0.3mg/人/週、そのうちメチル水銀(水銀の量として)として0.2mg/人/週以下であるべきと設定した。

記載はないが、体重60kgとすると、それらは、それぞれ0.005、0.0033mg/kg体重/週となる。JECFAは、魚を消費する集団における食品中のメチル水銀レベルが暫定的耐容週間摂取量0.2mg/人/週を超えた場合でも、限られた期間であれば、健康に対する危険性はなく、問題ないと判断している(第16回JECFA(18))。
② 1978年4月、第22回JECFAにおいて、環境保健クライテリア等を含め、再評価がなされた。

その結果、従前の評価(暫定耐容週間摂取量は総水銀で0.3mg/人/週、メチル水銀で0.2mg/人/週)を維持した(第22回JECFA(19))。
③ 1988年5月、第33回JECFAにおいて、新しいデータが入手されたので、再評価がなされた。

その結果、JECFAは、従前に勧告された暫定耐容週間摂取量、200μg/人/週(3.3μg/kg体重/週)が一般集団に対するものとしては妥当であると確認した。

その中で、妊婦や授乳する母親がメチル水銀の有害作用に対するより大きなリスクがあるのではないかとの懸念が指摘された。

さらに、この集団に対する特別なメチル水銀の摂取量を勧告するには入手された情報が不十分であるとし、さらなる詳細な調査が必要であると勧告した。
最終的には、JECFAは、魚が栄養分に富むこと、また、バランスのとれた食事に不可欠なものであるとして魚の消費を増大させようと多くの国で取り組みが進行中であることを指摘した。

さらに、地域的又は民族的な集団の食習慣は、何世紀にもわたって形成され、文化として定着したものである。

これらの習慣を変える必要があるとする勧告を行うのであれば、十分な議論に基づいたものであり、可能性のある関連事項を見逃さないようにしなければならない。

産業的な汚染に起因するメチル水銀の人への曝露を最小にする努力は継続しないといけないとした上で、次のような勧告を行っている。

非汚染地域で漁獲された魚に含まれるメチル水銀を消費する集団に対する疫学研究が限定されているため、FAOやWHOはさらなる研究を行うよう奨励した。

その研究の目的は、水産物中のメチル水銀が母体を通じて児に低用量曝露した場合の有害影響(例えば、中枢神経系への影響)を及ぼすか否かの判断を行うためのものである。

または、メチル水銀の毒性を緩和する魚の微量の成分(例えば、セレン)の重要性についても、可能な限り、評価を行うべきであるとした(第33回JECFA(20))。
④ 1999年6月、第53回JECFAにおいて、従前の評価を維持した。
セイシェルとフェローにおける胎児期曝露に伴う児の神経発達影響の疫学研究の結果を検討するも、相反する結果が得られているためリスク評価できず、さらなる研究結果が得られる2002年に再評価を行うこととした。
相反する結果に関して、①評価時期(年齢)や調査したテストの種類が異なること、②他の要因(フェロー諸島のPCB曝露)、③食文化の違い(フェロー諸島では、魚よりも頻度は少ないがゴンドウクジラを摂食するのに対して、セイシェルでは、ほとんど毎日、魚を摂食する。)の3つの要因が関与している可能性を指摘している。

また、特定の地域や民族の食文化において、魚は栄養面で重要な位置付けがなされており、魚のメチル水銀の濃度の制限や魚の摂食の制限が検討される場合には、その栄養面の有益性は、懸念される有害性にも増して、尊重されるべきであると指摘している(第53回JECFA(21))。