6年間という長い期間、4,000万個以上が使用された石けん。
かつてないほど大量のユーザーが使用したということは、人気の裏付けにほかならない。
同じ成分を用いた石けんでも、使用頻度やその期間が短ければアレルギー症状をもたらすことはないかもしれないということか。
同社では、「悠香 日本一愛される会社への挑戦」と題する単行本を一昨年刊行している。
広報用として、同社ではこの書籍を今でも関係者に配っている。
この標題には、誰に愛される会社へ挑戦するのか、「○○に」という補語が抜け落ちている。
消費者不在とまでは言わないが、今回の事件の伏線ともいえる出来事に、それが象徴されているようにも思われる。
旧製品から新製品への切り替えは見事なほどスムーズとも言えるが、危険性を察知してから新製品に切り替えるまでは、新たに配合する成分の安全性などの確認に要する試験期間が必要だと思われる。
しかし同社では、新製品に切り替える前日まで、安全性の疑われる旧製品を販売していた。
悠香では今、300人規模のコールセンターでも対応できないほど多くの問い合わせが入っている。
平均年齢27歳弱、全社員の92%が女性という同社だが、ひょっとしたら混乱のなかで今ほど、こんなにまで消費者に愛されていた会社だったということを自覚している時はないのではないか。
後者については、通常回収に至るには医薬品医療機器総合機構(PMDA)と厚労省の連携が不十分で、報告の過程でPMDAが行なう企業へのヒアリングも行なわれていないなどの点に疑義を挟んでいる。
また昨年10月に注意喚起を行なった際にも、悠香に対する指導を行なっていない点などを疑問視している。
最後に、悠香を「ねらい撃ち」したのでなければ、厚労省はその根拠を明らかにする責務がある、と挑戦的に結んでいる。
厚労省に対して疑問を提示する一方で、自主回収を行なった悠香に対しても、12月時点でアレルギーの可能性を知りながら製品を変更し、公表を避けていたのではないかと首をかしげているようだ。
「ねらい撃ち」という過激な言葉に、つい7年前に通販大手D社のメリロート含有製品が厚労省に槍玉に挙げられたことが思い出される。
業界では、D社の対応が不十分だったため、厚労省の勘気を被ったといわれている。紆余曲折を経た後に結局、自主回収におよんだ。
その頃、他の素材を用いた健食通販2社の製品も問題になっていたが、こちらは対応が行き届いていたために不問に付されたという。
なぜ悠香の石鹸だけが自主回収に至ったのか、上記の経緯に通じるものがあったのだろうか。
runより:この問題はナノテクにも通ずると思われます。
きめ細やかな泡だからこそ起こったと言えそうです。