・「出典」西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/shoku/rensai/
・食卓の向こう側 第9部・広がる輪<1>弁当の日 この楽しさ伝えたい
「今日のテーマは『お気に入りの野菜』を使ったおかず。では先生から、お弁当箱を開けてくださーい」
11月上旬、九州大学箱崎キャンパス(福岡市東区)の昼休み。
買った弁当の袋を手に学生らが行き交う傍らの芝生に、チンゲンサイとシメジの豚肉いため、レンコンの梅肉あえ、ロール白菜、サトイモの煮っ転がしなど、店のメニューにはないおかず15品を並べるグループがあった。
芝生の上に弁当箱を広げ、お互いの料理を食べ合う九州大学の学生ら 毎週木曜日、手作りの弁当を持ち寄っては、みんなで食べる九大生の“弁当の日”。きっかけは、その前月、県内5大学の学生など65人が集まり、食をテーマに語り合った「九大食育ワークショップ」だった。
そこで紹介されたのは、高松市立国分寺中学校の竹下和男校長(57)が始めた「子どもが作る“弁当の日”」。弁当作りを通じて、子どもや家庭が変わっていくという話に、農学部3年の井田順子さん(21)は飛びついた。
時間が惜しいと出来合いの弁当を利用し、「これまでお金で時間を買ってきた」。しかし、「食は心の余裕をつくる大切な時間」と気づいた。
「誰かのために作るのも楽しい。私たちもやろうよ」
呼び掛けに、セミナーでインスタント食品やファストフードに偏りがちな食生活を不安に感じた仲間が応じた。
「自分の名前の頭文字から始まる食材を使ったおかず」など毎回テーマを変え、できた料理はインターネットで公開。友人を手作りの料理でもてなす食事会も始まった。
思ってもみなかった楽しみを知った学生らの活動は、しなやかに展開している。