英国では、2002年5月10日付けで、食品基準局が、妊婦・妊娠しようとしている女性・乳児・16歳未満のこどもに対して、サメ・メカジキ・marlinを食べないように勧めています。
英国では、さらに、2003年2月17日付けで、食品基準局が、妊婦・妊娠しようとしている女性・授乳中の女性に対して、一週間あたり、マグロについて、缶詰であれば中缶(一缶あたり液体を除いた中身の重量で140g)を二缶、マグロステーキであれば一つを超える量を食べないように勧めています。
これらの女性に対しては、サメ・メカジキ・marlinを食べないことも勧めています。
2002年の調査では、新鮮なマグロのメチル水銀濃度が0.40ppm、缶詰のマグロのメチル水銀濃度は0.19ppmであったとのことです。
新鮮なマグロは油っぽいですが、缶詰にする過程でその油の大部分が失われます。
日本の場合には、昭和48(1973)年に厚生省が魚介類の水銀の暫定的規制値を定めています。
総水銀0.4ppm、かつメチル水銀0.3ppmです。但し、マグロ類(マグロ、カジキ、カツオ)、深海性魚介類(メヌケ類、キンメダイ、ギンダラ、ベニズワイガニ、エッチュウバイガイ、サメ類)及び内水面域の河川産の魚介類を除くとされています。
なお、マグロの缶詰は、アメリカ合衆国では、比較的よく食べられている缶詰ですが、妊婦が食べ過ぎないように制限を加えている州がいくつかあります。
魚を汚染する化学物質の中には、魚の内臓に主に蓄積されるものもあり、魚の内臓を除去して調理することは有用な場合があります。
しかし、水銀については、魚の体内にまんべんなく分布するとされています。
皮や脂肪や内臓を除去しても水銀による汚染を除去することはできません(参考文献12)。
魚を汚染する化学物質としては、他には、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、クロルデン類などがあります。
なお、平成15年1月16日、厚生労働省から、平成13年度厚生科学特別研究「鯨由来食品の有害化学物質によるヒト健康に及ぼす影響に関する研究」(主任研究者:豊田正武国立医薬品食品衛生研究所食品部長:当時)総括研究報告書(URL=http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0116-4.html )および平成13年度厚生科学研究「ダイオキシンの汚染実態把握及び摂取低減化に関する研究」(主任研究者:豊田正武国立医薬品食品衛生研究所食品部長:当時)総括研究報告書(URL=http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0116-1.html )が公表されました。「鯨由来食品の有害化学物質によるヒト健康に及ぼす影響に関する研究」では、鯨由来食品中のPCB・水銀の汚染実態調査がなされています。
日本では、捕獲調査(調査捕鯨)で捕獲されている南極海ミンククジラが一般市場に流通している鯨由来食品の50%以上を占めているとされています。オキアミ等を食べているこの南極海ミンククジラのPCB・水銀濃度は低かったです。
ところが、ツチクジラ、バンドウイルカ、イシイルカ、コビレゴンドウ、マッコウクジラなど、主に魚類やイカ類などを主に食べているハクジラ類は、脂皮では主にPCBが、筋肉では主に水銀がともに高く蓄積されており、これらは、昭和47年から48年に定められた暫定的規制値を大きく上回っていることが確認されたとのことです。
一方で、鯨製品の店頭展示品の大半が鯨種及び産地が十分に明記されておらず、全鯨製品の60-75%が鯨種名の表示がない。
また、全体のおよそ10%程度が誤った鯨種名が表示されており、正しい鯨種が表記されたラベルは16-25%にすぎないとのことです。