・引き取り手がない「核のゴミ」
放射性物質を扱う事業者は、研究や事業に使っているため、その結果として、次々と"核のゴミ"を生み出すというスパイラルに人っている。
核物質は永遠に消えないわけだ。
さいたま市にある三菱マテリアル大宮総合整備センターでは、200リットルのドラム缶換算で3万910本の放射性廃棄物を抱えている。
放射線量にすると38ギガベクレル。1秒間に380億本の放射線が出ている計算になる。
同社の清水正夫所長補佐が説明する。
「以前、研究開発用に使用したもので、廃棄物の中身は、ウランやトリウムで汚染された土壌が7割で、残り3割は解体撤去した際の設備や作業服、靴などいずれも放射性物質で汚染されているものです。
捨て場所がないので、03年に地下2階建ての保管庫を造り、厚さ4ミリの鉄板でできたコンテナ状の容器に詰めた上で保存しています」
同社は安全性をPRするため、保管状態を公開する見学会を実施している。
なぜ、これほどまでに、放射性物質が私たちの身近な場所に"放置"され続けているのか。答えは、捨て場所がないから、だ。
病院などから出る「RI」と呼ばれる放射性同位元素のゴミ以外は、引き受け手がいない。
放射性廃棄物を保管する事業者は、
「こんなもの持っていたくないが、どうすることもできない」
と悲鳴を上げている。
08年に原子力機構法を改正し、日本原子力研究開発機構が低レベル放射性物質の埋設処分をすることになった。
日本原子力研究開発機構埋設事業推進センターはこう説明する。
「埋設処分の方法には、鉄筋コンクリート製の施設の中に埋めるピット型と、浅地中に埋めるトレンチ方式がある。
これからドラム缶53万本の埋設処分場を造る計画ですが、場所がまだ決まっていない」
稼働は早くても2020年。
まだまだ、核のゴミの増殖スパイラルは終わりそうにない。