放置された劣化ウラン5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・「十分な情報公開」と言えるのか
 本誌の取材で、ウラン化合物などの核燃料物質を含む低レベル放射性廃棄物を保管している研究施設は全国に195カ所あることがわかった。
 文科省は、全事業者から報告を受けているが、事業者が提出する報告書には物質名を記入する義務がない。

そのため、どんな核物質が保管されているのかわからないケースが多い。つまり、A事業所は放射性廃棄物を持っている。

だが、何の物質かは知らない――これが、この国の放射性廃棄物の管理実態なのだ。
 今回、本誌は、研究施設で1トン以上の放射性廃棄物を持つ首都圏の26事業所に対し、所持する放射性物質の種類や使用目的などを取材した。中には、
「カメラに使う光学ガラスにかつてトリウムを混ぜていた」(住田光学ガラス)
「タングステンを製造する過程でトリウムを添加している」(東芝マテリアル)
 と回答する企業もあったが、多くの事業所からは明確な答えはなかった。
 文科省担当者はこう話す。
「いろいろな汚染物質が混ざり合っているケースが多く、それが何の物質なのか特定できない。実際、ウラン、劣化ウラン、トリウムのうちのどれかでしょう」
 あまりに不十分な管理体制を、文科省に問いただすと、担当者はこう答えた。
「廃棄物を保管する管理区域内で3ヵ月間の上限が1.3ミリシーベルト、周辺監視区域で年間1ミリシーベルトという放射線量の上限を各事業所は守っている」
 これは、答えになっていない。

放射線量を管理しているとはいえ、これは地震や災害のない平穏時の話。保管庫の建屋についての耐火基準や耐震基準などはないのだ。
 前述のチッソ石油化学の保管倉庫も特に耐火設計されていなかった。

07年の新潟県中越沖地震では、東京電カ柏崎刈羽原発に保管されていた放射性廃棄物入りのドラム缶400本が倒れ、うち39本のふたが開いた。

報じられてはいないが、被曝の危機は、私たちの間近に迫ってきている。
 さらに、疑問点がある。
 東京都内で廃棄物の量が多かったのは、東京工業大学の原子炉工学研究所(目黒区大岡山)の11トンと東京大学大学院工学系研究科にある原子力国際専攻共同施設(文京区弥生)の3トン。

ともに、廃棄物の中身は、研究用のウランとトリウムだった。
 奇妙なのは、放射性廃棄物の放射線量だ。

東工大は文科省に対し、「Oメガベクレル」と報告している。

メガの千分の一に相当するキロベクレルに換算すれば線量の数値は表示されるはずだが、どの単位を使うかは事業者側に任されている。
 東工大の有冨正憲所長は、
「線量はほとんどゼロに近いためメガを使った報告を毎年踏襲している」
 というが、東大は「液体40キロベクレル」などと、キロベクレル単位で届けている。

大学の施設は、私たちの生活の身近な場所にある。もっと丁寧な惰報公開の必要があるだろう。