水俣病の現況とその背景 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
ピコ通信/第151号
発行日 2011年3月24日
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tsuushin/pico_master.html


・チッソ分社化免責は禍根を残す
水俣病の現況とその背景
久保田好生 (東京・水俣病を告発する会)


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■水俣病とは

 水俣病は、チッソ水俣工場が製造工程内で副生したメチル水銀によって起こった中毒症状である。

メチル水銀はプランクトンから食物連鎖を経て魚介類に濃縮蓄積され、これを多食した不知火海沿岸住民に広範で重篤な健康被害をもたらした。

自然界を経由し食物を通じて起こったメチル水銀中毒症は、世界初。

そして、32年にわたって稼働し続けたアセトアルデヒド工程からの汚染により、被害規模も未曾有のものとなった。

 水銀は無機水銀や金属水銀も毒性が強いが、メチル水銀(有機水銀)は脳関門や胎盤のバリアーを超えて脳や胎児などにまで侵入するため人体への影響力が一層大きい。

重症者の場合、著しい運動失調や視野狭窄・言語障害などをきたし、時に痙攣発作を繰り返しながら死にいたる。

その悲惨な姿はよく知られているが、他方、慢性的に汚染を受け続けた人々の症状は傍目に分かりにくく、「ニセ患者」との誤解や中傷とも患者は闘わねばならなかった。

 頭痛、めまい、立ちくらみ、からすまがり(こむらがえり)、不眠・・・。

行政は神経症状が客観的に把握しにくいことや症状が時により変動することをもって、「水俣病か他の原因による感覚障害か鑑別できない」「症状の組み合わせに乏しく認定相当とは言えない」などの論理で認定を絞り込んだ。

そのため、水俣市をはじめとする不知火海南半分の沿岸地域に、「水俣病とは認定されないが、ほかに原因を考えられない感覚障害」を有した人々が多数放置されるという事態が、長らく続いてきたのである。