・■朝日8月2日
被災地ポランティアに熱中症注意報 厳重装備で消耗 気負わずこまめに休んで
東目本大震災の被災地で、ボランティアの熱中症対策が急がれている。
特に屋外での作業は、けが防止で「厳重装備」となっているため、体力の消耗が激しい。
成果を出そうと気負いすぎる人も多く、専門家は「焦らず、無理せずに」と忠告する。
露出した肌を覆い、頭と顔にはヘルメットとゴーグル、マスク。
革の手袋をはめて、ひざ当てをし、釘を踏んでも通さない鉄製の中敷きを敷いた長靴を着用。
浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)が仙台市青葉区に設けた東北教区災害ボランティアセンター(022・227・2193)は、屋外作業での服装をこう定めている。
けがを防ぐほか、汚水や異臭、カビなどから目や鼻を守るためだが、炎天下での作業となると大変だ。
長野県から駆けつけた山崎慶雅さん(36)は「30分もしないうちに頭から滝のような汗が流れ、ゴーグルが曇って目の前が見えづらくなる」。
ボランティアコーディネーターを務める救命士養成専門学校の非常勤講師、守屋宏司さん(39)は「初参加や短期間のボランティアに来ている人は、早く成果を出したくて無理に作業を続けがち。そんな人ほど十分に休みを取ってほしい」と呼びかける。
30分作業をしたら、30分は日陰で休む。
苦しくなったら周囲に気兼ねせずに休憩し、体を冷やして水分をこまめに取る。
「休むと『被災者に申し訳ない』と言う人がいるが、倒れる方が何倍も迷惑をかけることになる」
福島県災害ボランティアセンター(024・522・6540)でも屋外作業は長袖、長ズボン、マスク、手袋が基本。
これまでに軽い熱中症を訴えた人はいたが、休憩を取って快復し、病院に運ばれた例はない。
担当者は「休憩と水分補給を呼びかけ、塩飴を配ることもあります」と話す。
仙台管区気象台によると、梅雨明け前後は最高気温が連日のように30度以上を記録した。
平年より5~6度も高い。
米オレゴン州から次男と一緒に仙台市入りした日置由紀さん(47)は「湿気が米国とは全然違う。体調管理には気を使っているが、あせもに悩まされます」。
津波の被害が大きかった沿岸部では、海からの湿った風で湿度が高くなり、汗が出にくくなるため、熱中症に陥る危険性はより高い。
同気象台の担当者は「今年の夏は東北も暑い。ほかの地域から来る人は甘く見ないでほしい」と助言する。
ボランティアの熱中症対策
●無理な行程で日程を組まない
●前日は十分な睡眠を取ってから活動に臨む
●こまめな水分・塩分補給を心がける
●直射日光を避ける(帽子などを着用)
●衣服に風を適度に通す
●服の色を工夫する(光を反射するような色を選ぶ)
※仙台市災害ボランティアセンターのホームページから抜粋